おうちキャンプで災害に備える

このコロナ禍で意外にも売り上げが伸びているのが、カセットコンロ、ハンモック、ポップアップテントなどのキャンプ用品です。この自粛期間に少しでもアウトドア気分や現実から離れた雰囲気を味わおうと、おうちキャンプが人気だといいます。

部屋の電気を消し、室内にテントを張る。ランタンを片手に虫の鳴き声や風の音を流せば、そこはもうまるで外の世界。特に庭やベランダでキャンプをする「ベランピング」が、このゴールデンウィークならぬステイホーム週間でさらに注目を浴びているそうです。

私が注目したのは、こうした「おうちキャンプ」が自粛期間の生活をちょっと豊かにしてくれるだけでなく、防災面での意義もあるということです。災害が起きたことを想定してテントで1日過ごしてみれば、今まで気づかなかった防災対策のコツや課題が見えてくると思います。遊び感覚ながら、いざという時の備えを見直し、意識を高められる絶好のチャンスなのです。

もし、いま地震などの災害が起きれば、いつも以上の混乱が生じることになります。避難所が「三密」状態になれば、集団感染のリスクも当然高まります。ただでさえ災害で多くの人が恐怖を感じているところにコロナ感染というリスクも加われば、必要以上にパニック状態になり、多くのデマ情報が流れるかもしれません。コロナに感染したくないからと、避難を躊躇する人も出てくるでしょう。学校を利用した避難所では、集団感染を防ぐために体育館に加えて教室なども活用するという案もあるそうですが、限界はあると思います。

想像したくないですが、こうした複合災害はいつでも起こり得ます。次の大地震は一ヶ月後かもしれないし、明日かもしれない。災害は、コロナの終息を待ってはくれません。そこで万が一の時に問われるのは、被害を最小限に抑えるための一人一人の落ち着いた行動と災害への備えだと思います。

家にいる時間が増えた今だからこそ、防災対策にも改めて意識を向ける機会にしたいです。家族で防災グッズや非常食の蓄えを確認してみたり、散歩がてらに避難ルートを確認してみたり。防災キャンプがおうち時間を楽しむ遊びにもなるなら、一石二鳥ではないでしょうか。

私も今日、テントをポチッと注文しました。

参考記事:

3日付 朝日新聞デジタル 「「日常がワクワク」おうちキャンプ人気、防災にも役立つ」