オンライン授業開始! 学生の反応は。

先週から大学のオンライン授業が始まりました。キャンパスでの授業中止の決定から僅か2週間。楽観論を貫いていた大学が突然方針を翻したことで、教職員と学生は大混乱に陥っていました。しかし、延期措置は発表されないまま、波乱の新学期が幕開けしたのです。準備が間に合わず初回が休講になった授業もありますが、多くは何とか敢行されています。今回の記事では、大阪大学でどのようなシステムが利用され、学生はどのように対処しているか紹介します。

阪大はKOANという履修登録や成績確認、シラバス参照などが可能な学務情報システムとBlackboard Learn (CLE)という情報連絡、資料配布、課題提出などを行える授業支援システムを従来から持っています。利用する教員はごく少数でしたが、この緊急事態を受けて、活用することになりました。3月末に、教員向けにKOANやBlackboard Learnの利用方法を指導する講座が急に始まりました。ただ、講習会に参加しなかった人も多くいたためか、講義の実施方法は全て各教員に委ねられることになりました。その結果、多種多様な形態で展開されています。

「遠隔授業」と一概に言っても、実施に必要なプロセスは主に三つあります。情報や資料の伝達、映像配信、課題提出です。基本的に、Blackboard LearnとBlackboard Collaborate Ultraという阪大が持つシステムを組み合わせれば、三つのプロセスを全てカバーすることができます。しかし、実際には十種類以上ものシステムが併用されています。YoutubeやLINEなど使い慣れているアプリの導入は構いませんが、Facebookやツイキャスなど新しいアプリのインストールを求められるケースもあります。手間がかかり不便に感じています。

教育関係者の間で人気のWeb会議システムZoomも最善策とは言えません。多機能なるがゆえに使い方が少し複雑です。教授の操作ミスで声が届かなかったり、開始時間を誤って設定したりするなどのトラブルが既に起きています。無料版だと最大100人までしか同時ビデオ通話ができないという課題もあります。

新たなシステムに挑戦することを恐れ、映像を配信しない教授もいます。学生に資料を配布して、課題提出を求めるだけです。授業の質を維持できておらず残念です。

本来は大学当局がしっかり準備期間を設けるべきでした。授業の実施計画を各教員に丸投げするのではなく、どのサービスを利用すべきか指針を提示する義務がありました。執行部の怠慢を教職員が尻拭いさせられる形となっています。

学生の側は大学の都合に振り回されながらも、淡々と映像の視聴や課題提出をこなしています。PCの操作が苦手な人からは一部不満の声が上がっています。体育の実技や物理実験、化学実験の実施が不可能という欠点もあります。しかし、種類の多さが問題と言えてしまうほど、遠隔授業システムは意外と整っていました。大半の学生は不自由なく消化できています。

むしろ、早起きして満員電車に長時間乗って通学する必要がなくなり、以前より楽だという声が多くあります。朝ご飯を調理しながらや布団にくるまりながら、授業に参加したという同級生もいました。ライブ配信の映像以外は、都合の良い時間にマイペースで勉強を進められるので、便利さも実感しています。

教授陣の中には、学生の顔色や反応を窺えないと困る。内職したり、飯を食べたり、寝たりしていないか心配なので、ビデオ通話で顔を表示してほしいと要望する先生もいます。しかし、受講態度に関わらず、内容を正しく理解して課題さえこなせていれば問題ないのではないでしょうか。

まだまだ改善点はあるものの、意外と便利だと分かってきたオンライン授業システム。コロナが収束した後も継続して欲しいという意見もある程です。今後どのように運用されるのか注目です。

授業支援システムBlackboard Learn (CLE)

Youtubeを通じた講義動画の配信

教員が課題を一括管理できるGoogle Classroom

 

 

参考記事:

朝日新聞、日本経済新聞、読売新聞 新型肺炎流行 関連記事

 

参考資料:

大阪大学サイバーメディアセンター「遠隔授業などメディア授業に関する情報提供ページ」

https://www.cmc.osaka-u.ac.jp/?page_id=6184

 

アシストマイクロ株式会社「Blackboard 新しい学習体験を実施する教育プラットフォーム」

https://www.assistmicro.co.jp/products-category/blackboard/