入試に不安の声、国は方針示せ

 首都圏など7都府県を対象に緊急事態宣言が出され、今日で2日目です。外出自粛や臨時休業など、私たちの生活に大きな影響を与えています。 

 私が、アルバイトとして勤務する大学受験予備校も対応に追われています。感染を防ぐため、対面での指導からウェブを用いた指導に変更しました。

  指導の質、内容そのものに変わりはありませんでしたが、受験生からは不安の声が多く上がりました。中でも多かったのが、「休校によって、高校の授業の進み方が入試本番に間に合うかどうか分からない」という声です。中には、入試本番直前に、ようやく入試出題範囲を学習し終わる学校も少なくありません。

  文部科学省が7日に公表した集計によれば、4月の新学期に入り学校を開始した、あるいはその予定の公立小中高校は全国で計62%。緊急事態宣言が出された7都道府県に限ると11%にとどまるようです。一方で、他の40道府県では85%が「開始」「開始予定」でした。

 さらに受験生の進路決定に大きく関わる模試も一部で中止を余儀なくされています。河合塾は、第1回全統共通テスト模試(旧全統マーク模試)や第1回全統記述模試について、試験会場での実施を中止します。昨年の第1回全統マーク模試は25万人近くが受験するなど、受験生にとって全体の中での立ち位置を知る絶好の模試でした。これによって、残りの2回の全統模試で志願先を決めていく必要が出てきました。全国の感染状況によっては、第2回、第3回模試の中止さえ考えられます。

 入試での絶対条件は公正性を保つことです。しかし、これらをみると、公正に試験に臨める環境だとは到底思えません。休校を続ける学校と授業を再開するところでは、自ずと差が生じます。「独学で学べばいいじゃないか」。そう思う人もいるでしょう。しかし、教員による授業や解説がなければ理解出来ないところも当然あるでしょうし、それこそ公正性に反します。

 入試は人生を大きく左右します。今後、感染拡大が収まらない場合、来年1月の共通テストの実施すら危ういでしょう。その場合、どうするのか。各大学の個別試験だけで対応するのか、共通テストの実施時期を先延ばしにするのか。様々な対応が考えられます。

 受験生は不安を抱きながら今日も勉強に励んでいます。国は責任を持って、早期に方向性を打ち出すべきです。

 

参考記事:

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