コロナと「共存」する

「人間には都合のよくないコロナウイルスも多様性の一つ。登場してしまったからには共存するしかない。」

これは解剖学者の養老孟司さんの言葉です。コロナを封じ込めようと世界中が躍起になっている今、衝撃的な内容に目が留まりました。

ウイルスと共存するということ、それは終息後においても現在の「対コロナ」対策を社会や生活に取り入れていくことだと思います。例えば、外出自粛要請によって在宅勤務を行う人が急速に増えました。これらは、働き方の多様性を急速に社会に浸透させる可能性があります。浸透すれば、今後不測の事態にも柔軟に対応できる勤務形態を作ることが出来ると考えます。

そして加えて、世界的に見て功を奏したと思われる施策や習慣を自国でも導入していくことも共存の一歩になると思います。

「ジャパン・パラドックス」という言葉が欧米の一部で広がっています。これは日本での感染者数に対する死亡率の低さを示しています。

感染拡大は国の文化、習慣の違いによる点もあります。例えば、以前欧州に留学に行った際に手洗いへの意識の違いに驚きました。日本ではレストランでは必ずと言ってよいほどおしぼりが出てきます。コンビニエンスストアで食べ物を買った際にもウェットティッシュがついてきます。しかし、欧州では出てくることはありませんでした。

マスクやハグの習慣の有無など要因は複雑に絡み合っています。しかし、感染者数や死亡者数の増加の仕方の差異には必ず原因があるはずです。終息後にそれらを分析し、感染拡大予防に効果があると認められる場合は取り入れるべきです。

現在、経済は未曽有の危機にさらされ、卒業式や入社式、入学式が無くなるなど暗いニュースが続いています。その中でも「共存」をキーワードに、少しでも今後に活かせる物事を見つけることで光が見えてくるかもしれません。

 

参考記事:

28日付 読売新聞朝刊(東京12版)9面(解説)「コロナも多様性の一つ」