アフリカは今 新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大しています。中国や日本、韓国、イタリア、イランばかり注目されがちですが、既に6大陸60ヶ国以上に広がっています。感染拡大が最も危惧されているのはアフリカです。3月2日現在、計6人の患者が見つかっています。

アフリカ諸国の多くは経済的に発展途上で、医療体制が不十分です。サハラ以南の地域の幼児死亡率は約8%で、平均寿命は60歳を下回ります。中央政府に従わない武装組織が蔓延り、医療体制の脆弱性に拍車がかかっている現状もあります。各国はどのような対応をしているのでしょうか。

アフリカ地図(Macbookの地図アプリより)

外務省の海外安全情報を参照してみたところ、その対応は様々です。54ヶ国のうち、日本からの入国制限を行っているのは、島国のマダガスカルコモロです。感染発生国に滞在していた人は、発生していない国での14日間の検疫を経ないと入国許可が下りません。

チャドは入国拒否を行ってはいないものの、WHOの支援を受けて厳重な対策を敷いています。空港の全スタッフがマスクを着用し、到着客に対する検温を24時間体制で実施しています。感染が疑われる人が見つかった場合に備えて特別対応チームを空港に常駐させており、患者を病院に搬送する用意もできています。中国から来た人には、14日間の自主的な隔離を求めています。

同様にアンゴラナイジェリアも自主隔離を求め、他者と接触することを禁止しています。カメルーンは空港や医療機関に隔離部屋を用意している他、国内10州に即応調査チームを用意しています。健康調査票で、氏名、電話番号、滞在先を入国者に書かせて、追跡調査を行えるようにしているそうです。

一方、東アフリカ諸国は対応の遅れが目立ちます。ケニアは中国人、韓国人、日本人などに対する入国制限等の措置を設けていません。先月18日に日本から入国した友人によると、空港にサーモグラフィーが設置されていただけで、問診や健康調査票の記入はありませんでした。ようやく2月28日になって国家緊急対策委員会が立ち上がり、これから対策を考えていこう、というレベルです。隣国のタンザニアも検疫を強化したという情報はなく、ルワンダも簡単な問診があるのみだそうです。

エチオピアに至っては、中国直行便を未だに運行させています。ケニア航空、ルワンダ航空、マダガスカル航空、モーリシャス航空、タンザニア航空、エジプト航空など、大半が2月初旬までに中国便を停止したなか、通常運行を継続しているのは異例です。

国によって、対応には差があることが窺えました。入国後の自主隔離を求める国こそ限られているものの、問診票の記入やサーモグラフィーを用いた検温を強化しているところが多い印象です。中国との繋がりが深い東アフリカ諸国は、検疫の強化や入国制限に消極的な傾向が見受けられます。東アジアとの接点が少ない西アフリカの中小規模の国も、目立った対応を取っていません。今後、早急に態勢を整えることができるのでしょうか。

各国の国内の対策も厳しい状況です。詳しい状況は分かりませんが、E-Trcking Mapを参照する限り、コロナの検査を行ったり、患者を隔離できる施設は非常に少ないようです。アフリカは日本よりも面積が広い国が多いですが、まともな病院、医療施設が首都にしかない国もあります。

既に幾つかの問題も報告されています。ザンビアのキトウェという都市では、多くの中国人の鉱山従事者が咳と熱を訴えているものの隔離できる施設がない、という状況に直面しています。ガーナの病院で擬似例が見つかり、周辺でパニックが起きているとの話や、ナイジェリアニジェールの国境で、コロナウイルスを検査する器具がないという防疫体制の不備も報告されています。

ただ、アフリカ諸国の保健・衛生に対する意識は決して低い訳ではないと思います。多くの人々は黄熱病やマラリアを始めとする感染症のリスクを認知しており、数年前にエボラ出血熱の大流行を経験しています。エボラは現在も散発的に患者が報告されており、注意を促す広告が街頭に貼られていたりします。

過去の知見を生かして、感染拡大を防止できるのか。各国の対応を注視していきたいと思います。

ルワンダの街頭に掲示されていた告知(19年9月撮影)

 

参考記事:

朝日新聞、日本経済新聞、読売新聞 新型コロナウイルス感染症 関連記事

 

参考資料:

「E-Tracking map of the #CoViD19 in Africa」

http://umap.openstreetmap.fr/fr/map/e-tracking-map-of-the-covid19-in-africa_411333#7/35.461/13.365

「外務省海外安全ホームページ 国・地域別海外安全情報」

https://www.anzen.mofa.go.jp/riskmap/