できることは自分でする。そのためには、周りの人の支援が必要不可欠です。しかしその支援も、あまりに負担が大きいと、続けることは困難です。
私の近所に住んでいた一人暮らしのおじいさんは、高齢でしたが、デイサービスを毎日ではなく、週に3回だけの利用、惣菜宅配サービスを利用しても、ご飯だけは自分で炊く、など、できることは自分でするようにしていました。そのためには、息子夫婦が週に1度は来たり、私の母も2日に1度は様子を確認しに行ったりするなど、周りのサポートが必要でした。しかし、年齢とともに状態が悪化し、息子夫婦の負担の増加から、介護施設に移ることになりました。移った途端、状況はさらに悪化してしまいました。
読売新聞では、急増する「高齢者向け住宅」で過剰な介護サービスを押し付ける実態が記事にされています。今までトイレに行けていた入居者におむつを強要したことで、起き上がることが難しくなってしまった例が挙げられています。
もちろん、独居の高齢者とその家族にとって、高齢者向け住宅や、介護施設は安心です。しかし、できるうちは自分でしなければ、できることもできなくなってしまいます。そのためには、周りの人の理解とサポートが必要です。その反面、介護への理解や支援は想像以上に負担であることも事実です。
朝日新聞によると、家族の介護で仕事を休みやすくするために、厚生労働省が育児・介護休業法の改正を検討しているそうです。今までの制度よりも、分割して、細かく取りやすいように見直すことで、仕事と介護の両立しやすくすることが狙いです。この制度が見直されれば、「できるうちは見守りたい」と思う家族の負担を軽減できるかもしれません。支援は一人の気持ちだけでは続きません。それをサポートする環境が必要だと考えます。
4日付 読売新聞(13版)総合面「高齢住宅で過剰介護横行」
4日付 朝日新聞(13版)1面「介護休業 分割所得OK」