「地球温暖化対策」だけが○で、残りは△と×。日経新聞に掲載された、米中首脳会談の結果をまとめた表です。米中両政府は3日、地球温暖化対策「パリ協定」に批准したことを発表しました。
温暖化対策には、大きく弾みが付きました。パリ条約とは、2015年12月に採択された、地球温暖化対策の新しい国際的枠組みです。196か国もの国・地域が参加し、今世紀後半の目標まで定めた重要な協定です。「批准国の排出量の合計が世界全体の55%を超える」ことが発効の条件となっています。9月1日現在の批准国は24で、約1%。4日に米国と中国が批准したことによって、38%になりました。約3.8%を排出する日本は、年内の批准を目指しています。かつての温暖化対策枠組みである京都議定書には、アメリカは脱退、中国は参加しませんでした。今回、パリ協定へ同時の批准ができたということで、温暖化対策には一定の信頼関係があることがうかがえます。
不安を覚えたのは2つです。まず、地球温暖化対策以外はほとんど平行線であったこと、もう1つは、合意できなかった課題は日本も共有しているものが多いことです。特に南シナ海問題については、「核心的利益である」という、何年も続いてきた主張を繰り返したのみ。なかなか落としどころを見つけられていないことが分かります。尖閣諸島問題を抱える日本は、より切羽詰まった要求をする動機がありますが、米中がこの調子では幸先が良くありません。
日中の首脳会談は、5日に予定されています。日中間に一切妥協の余地がないわけではありません。8月下旬の外相級会談では、海上連絡メカニズム(日中の防衛当局間を電話でつなぎ、軍事衝突を回避する)の開始について日中ともに前向きでした。全ての項目に○を付けることは不可能でも、確実に押えてほしいところです。
参考記事:
9月4日(日)付 日本経済新聞朝刊 1面『米中がパリ協定批准』、その他関連面