日本経済は、労働不足がより深刻になりつつあります。日本総合研究所の山田久調査部長によると、14年平均の労働不足は195万人。今後の労働力率が58.5%までに下がる想定だと25年には570万人の労働不足になると指摘。そしてそれを補うためにAI(人工知能)やロボットへの代替が急がれています。
これは確かに有効な策ではありますが、心配なのが技術の更なる発展によって、ほとんどの仕事を人間に代わって機械がこなすようになってくることです。私が大学の講義で知った 話ですが、ITの進歩によって10年後に消える職業は主に事務職、営業、流通、サービス業、秘書業務だそうです。家に帰って自分でも調べてみました。すると「NAVERまとめ」のサイトでは、他にも時計修理工や銀行の融資担当者、印刷業者、ブライダルアテンダント、郵便配達員、農家などが「消える仕事」として挙げられていました。
一方でオックスフォード大学の調査レポートによれば、「残る仕事はセラピスト、心理学者、聴覚医療従事者等、いわゆるクリエイティブな仕事や人間の体や心に関わる仕事が残っていく傾向がある」と書かれています。
それでなくても、機械の発達や技術の急速な普及によって人間の将来の職業の幅と選択肢が狭まってきています。記事のなかで野村総合研究所は「あくまでも技術的な可能性を示したもので、現実には経営判断や市場のニーズに応じて機械に代替されない職業は多い」と説明していますが、そうは思えません。それらの仕事も技術の進歩によって奪われる可能性は十分に考えられます。そうならないためにも、人間の「想像力」を活かした仕事を増やしたり、そういった人材を育成したりする社会政策が必要になってくると考えます。
12月29日付 日本経済新聞朝刊 12版 経済教室26面 「時事解析 2025年の日本経済」