日本における少子高齢化は、もはや既存の事実となりました。お年寄りが多く、子供が少ない社会はもはや当たり前で、現在はむしろその現実にどう手を打っていくかが重要になってきています。厚生労働省が高齢者の雇用保険を手厚く整備することが明らかになりました。いわゆる「アクティブシニア」の活躍の場は広がっていくのでしょうか。
厚生労働省は65歳以上の高齢者が新規で雇用保険に加入することができるようにします。失業して新たに仕事を探す意欲のある高齢者には、2016年度から最大50日分の失業手当を支給するようです。就労の負担を軽くして高齢者が働きやすくし、政府の掲げる一億総活躍社会の実現につなげる狙いがあるようです。
今までの制度では、雇用保険に加入して65歳まで働いたのちに、同じ会社で働き続ける場合に限って雇用保険に継続して加入できることになっていました。これが2016年度からは、転籍や転職する場合においても雇用保険に加入できるようになります。求職活動をしているかなどは厳格に確認することで不正受給を防止するようです。事実、高齢化に伴って65歳以上の求職者は増加しています。2014年度の新規求職者は46万4901人で前年度に比べ10.8%も増えました。今後も高齢化は加速していくため、この制度改革はますます効果を生みそうです。
最近、高齢者がリタイア後も元気に旅行や仕事など様々な活動に参加していることから、「アクティブシニア」という言葉が徐々に使われ始めている気がします。その層に向けたツアープランなども組まれているようです。アクティブシニアが再び社会に登場して働くことは、働く本人と社会の両者にとってメリットがあることではないでしょうか。働くことで生きがいを感じ、リタイア後も元気に過ごすことができれば、本人も当然うれしいでしょうし、病院にかかる回数も減っていけば社会保険料も少しずつですが浮いていきます。また、人手が足りない現場など、特に保育などの現場ではシニアの経験も活かした雇用が生まれていくのではないでしょうか。今回の制度変化は、今後の社会のあり方に大きな意味を持ってくるのではないでしょうか。期待を持って今後の動向に注目していきましょう。
参考記事:21日付日本経済新聞朝刊(1面)「高齢者の雇用保険手厚く」