現代の日本では、女性が仕事を続けにくい社会になっていることが問題になっています。東京都内に住む3000人の男女を対象にした男女平等参画に関する世論調査では、「男性の方が優遇されている」と60%が回答しています。確かに「男性は外で仕事、女性は家で家事や育児」という古来の考え方が深く根付いているようです。
私が幼少期の頃に住んでいたフィリピンは日本と違い、男女平等が重んじられています。インターネットで調べたところ、フィリピンはもともと双系制社会と言って親の遺産を男女関わりなく均等に相続できるなど、「男だからこうだ」や「女だからこうだ」という区別は存在しません。また、貧富の格差が大きいうえ、多くの人々が家族を大事にしようという考え方を持っているので、社会に出てお金を稼ごうと頑張って働く女性が増えていったというのも理由の一つです。
このためフィリピンは、管理職と専門職に占める男女比ではどちらも女性が上回っていて、ともに世界一位を誇っています。
1999年に男女共同参画社会が制定されている日本では、「男女平等」という考え方がまだまだ薄いようです。一方では、女性が男性に対してものを言うようになったのはいいが、言い負かされた男性は腕力に頼るしかなくなり、DV問題に発展するケースが多くなってきていると指摘する論者さえいる。
こうした事態から脱却するためには、今こそお隣の国フィリピンのように、男女共同参画を強め、女性が安心して社会進出できる社会環境を作るべきなのではないでしょうか。
11月12日付 日本経済新聞39面 東京・首都圏経済 「『女性も仕事継続」半数支持」