役に立たない大学の勉強は、やめてしまうべきなのか

大学の勉強って、役に立つのでしょうか。私は経営学を専攻していますが、残念ながら、今のところ役立ったことはほとんどありません。では、今勉強していることは全く無駄なのか。まだ社会に出た経験はないですが、「そんなことはない」と思います。

そもそも、大学在学中に勉強したことが、すぐに使える必要もないと考えています。ただ、「実践的ですぐに役立つ内容を大学で勉強すべき」という声も出ているそうです。

昨年10月、国際的に競争する「G(グローバル)型大学」と、地域に根ざした「L(ローカル)型大学」という大学の分類が提唱されました。この考え方では、「ごく一部のトップ校以外はL型大学と位置づけ、職業訓練校にする議論も必要」だそうです。L型大学では、勉強する中身も一新します。例えば、文学・英文学部では「シェイクスピアを読む代わりに、観光業で必要となる英語」、経済・経営学部では、「マイケル・ポーターの代わりに、会計ソフトの使い方」といった具合です。

こうした考え方が生まれた背景には、生涯賃金から見た大学進学に費やしたお金の利回りが主要国で最低であることや、大卒者の正規雇用への就職が難しくなってきていることがあります。

しかし、仮に観光案内が流暢な英語でできたり、会計ソフトが上手に使えたりとしても、劇的に収入が増えることはないでしょう。また、雇用の受け皿がそれほど大きいとも思えません。実践的な訓練を充実させたいのであれば、高等専門学校(高専)を充実していくほうが良いように思います。

L型大学の構想を聞いて、「すぐ役に立つことは、すぐ役に立たなくなる」という言葉を思い出しました。大学でシェイクスピアやポーターを読むことは、卒業後すぐ役立つものではないですが、長い人生で助けとなる機会も多いのではないでしょうか。それに、「役立つ」「役立たない」だけを基準に、勉強する内容を決めるのは、少し寂しい気がしませんか?

参考記事:19日付日本経済新聞朝刊3面「稼げる大卒どう育てる」