夏の甲子園開幕 暑さとも戦う球児

夏の高校野球、全国高校野球選手権大会が5日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕しました。今年は記念すべき100回目。前身の全国中等学校優勝野球大会が1915年に始まり、第2次世界大戦による中断を経て第100回を迎えました。

初日のきょうは3試合があり、開幕試合の藤蔭(大分)―星稜(石川)戦では元大リーガー松井秀喜さんが始球式のピッチャーを務めました。松井さんは記者団から甲子園の雰囲気について問われ、「自分が出ていたときと変わらないと思います」と感想を述べていました。

変わったのは環境でしょうか。松井さんが高校野球で活躍した1992年、8月上旬の平均最高気温は30.7度(神戸市)でした。昨年は33.2度。ここ10年ほどを見る限り、33度を超える日が多くなってきています。

今日の朝日新聞朝刊では、甲子園球場での暑さ対策について触れています。スタンドに大型扇風機や散水機、ミスト扇風機を配置するほか、冷却グッズの売店を増やすとのことでした。また、水分補給もこまめにとるよう対策が練られたようです。

しかしこれで万全なのでしょうか。予選となる地方大会では、暑さに苦しんだところもありました。選手や観客が熱中症や脱水症状を訴え、救急搬送されたケースが相次いでいます。運営側も悩んでいるようで、京都大会では第3試合以降のスケジュールを変更し、準々決勝はナイターに。熱戦は午後10時半まで続きました。日本高野連の竹中雅彦事務局長は先月24日、京都高野連の判断を「英断」と評価しました。

「給水禁止」の指導で生徒が搬送されるケースは毎年あり、その度に問題視されています。しかし現場はなかなか改善されていないようです。筆者は中学で卓球部に所属していました。室内スポーツといえど、エアコンがあるわけではありません。換気が十分ではない室内では湿度が高く、時に40度近くまで気温が上昇することもありました。ファインプレーを生み出すためにも、環境を改善する必要性があると思います。

竹中事務局長はナイターの導入について「現実的な選択肢の一つ」としており、来年以降の大会で検討する姿勢です。環境整備こそが球児の健康や高校野球の伝統を守るのではないでしょうか。大きな声で変革の必要性を訴えていくべきでしょう。

参考記事

5日付 朝日新聞朝刊(東京13版) 16面 (スポーツ) 「アルプス席 3台ずつ散水機 熱中症対策を追加」