イチロー、シアトルへ ここからが本番

野球ができなくなったら、それは僕にとってひとつの死でしょうね。

たまたま見ていたニュース番組で、イチロー選手が言っていた言葉にはっとしました。よく、これがなくなったら死ぬ!なんて言葉を耳にしますが、イチロー選手が口にするとなるほど説得力があります。

ニューヨーク・ヤンキースのイチロー選手が古巣シアトル・マリナーズに移籍することを発表しました。日本時間8日、キャンプ地オリンピアで開かれた会見では、5年半ぶりに戻るマリナーズに対する思いと、大リーグ現役最年長野手であることについての葛藤を述べました。

アメリカ野球界では、40歳はひとつの区切りになるのだそう。イチロー選手は44歳、出番が確約されない年齢になってしまいました。契約期間は一年、年俸は昨年大リーグの平均年俸の5分の1程度(約8000万円)と、マリナーズが提示した条件は厳しいものです。昨今様々な技術が発達し、選手の能力は数値化されています。同じ数値ならベテランよりも若手を選ぶ傾向のあるアメリカ野球界で、最年長の鉄人がいったい何をしでかしてくれるのか、そしてどこまでできるのか、世界から期待されています。

そんな中やはり感じるのは、好きなことを仕事にして限界までやり抜くイチロー選手の人としての強さですね。彼の年齢を気にしているのは彼自身ではなくあくまでも球団側、本人は「最低50歳まではメジャーに立ち続けたい」と公言していますから驚きです。

好きなことを仕事にして嫌いになってしまった、年齢には勝てなかった。そう言って第一線からベテランが退いていく光景は、野球に限らず身の回りでも見かける光景ではないでしょうか。冒頭のイチロー選手の言葉を借りれば、そうして好きだったことをやめたとき、その人のなにかは確実に死ぬのかもしれません。

わたしも今年から就職活動。やりたいことも好きなこともあります。それを、いろんな意味で仕事にできるのかどうか、仕事にせずとも続けられるのかどうか、怖い気持ちはとんでもなく強い。そんなときにこの記事を見つけたのも、なにかの縁かもしれません。スポーツに明るくはないですが、一人の人間として、イチロー選手の強さには脱帽するばかりです。

イチロー選手、頑張ってください。
わたしも頑張ります。

参考記事:
9日付 朝日新聞朝刊(大阪14版) 16面(スポーツ) 「44歳イチロー 衰えぬ志」