これからはアジア 日本が動かすTPP貿易自由化、ルール維持、日米交渉の防波堤に

戦後の日本は目覚ましい成長を遂げ、経済大国となりました。今の国際経済を先導しているという意味では日本もアメリカに引けをとりません。

TPPは参加12カ国の国内総生産(GDP)の6割強を米国、日本が2割弱を占めます。日本は「事実上の日米自由貿易協定(FTA)」(交渉担当者)とみてきましたが、合意したルールが維持されれば米国抜きでもメリットは小さくありません。成長が続くアジア市場で、外資規制や国有企業の優遇緩和が進み、日本企業が進出するための環境整備が進むからです。

私は今年(2017年)3月いっぱい、カンボジアでインターンシップをしていました。首都のプノンペン空港についた時から、身近な日本企業がカンボジアまで進出していることを自分の目で確認し、驚きを隠せませんでした。

空港には吉野家がありました。そして市内の中心地にはイオンモールや丸亀うどんまであります。この丸亀うどんには手ごろな価格設定という印象があるらしく、非常に人気でした。店内では日本のマイナーなバンドの曲まで流れており、日本人の友達と食事していると外国に来ていることを忘れてしまいます。

TPP交渉ではベトナムやマレーシアなど金融や通信、小売りで厳しい外資規制を残していた国が撤廃に応じました。14年にベトナムに進出したイオンは、外資規制をクリアする準備に4年を費やしました。規制の見直しが実現すれば迅速に進出できます。クラウドサービスのようなネットビジネスを展開しやすくなる点も大きいでしょう。

電子商取引(EC)を促す貿易ルールは確立されていませんが、多国間で包括的なルールを初めて確立したのがTPPです。そして、日本は最先端のルールを東アジア地域包括的経済連携(RCEP)や日中韓FTAでも導入するよう主張しています。米国抜きでもTPPが残っていれば、アジア地域での交渉のなかで中国との駆け引きに生かすことができます。

ベトナムやマレーシアばかりではありません。最近、カンボジアの中央銀行は仮想通貨技術「ブロックチェーン」を使った新しい決済手段を開発しています。日本のフィンテックベンチャーのソラミツが開発した技術を使います。このように、日本の技術は海外で高く認められており、これまでの欧州偏重からアジア中心の時代が来ると言われています。当面は米国が抜けた「TPP11」を日本主導で整備し、時間をかけて米国を引き戻したいものです。域内で自由貿易を保証する高いレベルの通商ルールが維持できれば、米国も戻りやすくなる。筆者はそうみています。
参考記事:

27日付 日経新聞朝刊(13版) 5面

(経済)「日本が動かすTPP貿易自由化、ルール維持、日米交渉の防波堤に」