環境問題でモヤモヤした話

いつだったか、友人からゴミの分別が雑だと指摘されました。

プラスチックを捨てたかったのですが、目の前のゴミ箱には「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」の2種類しかありません。燃やせると思って「燃えるゴミ」に捨てたのですが、友人によれば、プラスチックは「プラスチックごみ」であると。確かにその通りだけれども、どちらか選ぶなら「燃えるゴミ」じゃないか、と言い返したら、分類に当てはまらないものは家に持ち帰れと一蹴されました。なるほど正しい、と反省しつつも、そんなに厳しいことを言わなくてもと思ったりして……。

昨日の朝日新聞の朝刊に、脱炭素を徹底した米国のスポーツアリーナを紹介した記事がありました。アイスリンクの氷は、雨水を再利用して作られています。施設内の電力は、冷暖房や調理を含め、全て再生可能エネルギーでまかなわれているといいます。他にも、ペットボトル削減のため、水筒の水を補給するステーションをアリーナ中に設置するなど、先進的な取り組みがウェブサイトで紹介されていました。24年までに、使い捨てプラスチックの使用を完廃するという野心的な目標も掲げています。

環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)は、私たちの生活でもどんどん身近なものになってきています。企業や団体も、環境問題への取り組みを全面に押し出すところが多くなっています。しかし、その身近さがゆえに、日常のちょっとした行動や言動によって意識の高さや政治的意見などを推測されてしまう、そんな少しセンシティブな問題になっているかもしれません。

先ほど紹介したアリーナ。命名権を購入したアマゾンによって、「クライメート・プレッジ・アリーナ」と名付けられました。紙面では、「気候問題への誓いを立てる競技場」という訳があてられています。その命名権が日本円にして500億円ほどというのですが、企業戦略やイメージにおいて、サステイナブルであることがとても大きな価値を持つ時代になってきていることを、象徴的に示していると思います。

環境問題への関心の高さを窺わせるのは、アマゾンだけではありません。マイクロソフト共同創業者のポール・アレン氏は、10年に「グリーン・スポーツ・アライアンス」を設立しました。サステイナビリティを成長戦略と位置づけ、持続可能な社会の実現に取り組むビジネスモデルを、スポーツに関わるさまざまな団体に提示しています。日本企業の間でも同様の潮流が見られます。35年までに「生産現場におけるカーボンニュートラル」を目指すトヨタ、服のリユースに取り組んでいるユニクロなどが大所でしょうか。

こうした輝かしい事例を眺めていると、持続可能性の追求が新たな世界的標準であることが感じられます。しかし、その波は全ての場所に均等に届いているわけではありません。特に個人間では、環境問題に関して温度差が生じ、気まずい雰囲気になってしまうことがあります。

冒頭だけの例ではありません。例えば、エコバック。持ち歩いている人も、そうではない人もいると思います。私は普段から手放しませんが、その日一緒に買い物に行った友人は持っていませんでした。

小さなスーパーのレジ。友人が袋をもらおうとする傍から私がエコバックを出すと、友人は後ろめたそうな顔をし、やっぱり持ってきた方がいいよな、と呟きました。私はエコバック賛成派ですし、その人は資源を使い過ぎるところが多少あると前から思っていましたが、だからといって、次からエコバックを持ってきたらいいよ、と説くのは大人気ないでしょう。結局、「私もいつもエコバック持ち歩いているわけじゃないから」と的外れな言い訳をして、この話題は終了。人間関係と社会的意見は分けて考えたいのに、段々とそうは行かなくなってきているようです。

もちろん、環境問題は緊急度の高い地球規模の課題であり、各国や各企業、個々人が自分ごととして取り組む必要があります。とはいえ、環境対策に遅れを取っている人をむやみに責め立てる社会でいいのでしょうか。

隣の誰かの価値観が自分と異なると自覚させられたとき、人間関係は難しいなあと痛感する昨今です。

 

 

参考記事

16日付 朝日新聞(北海道13版)15面(スポーツ)「スポーツ界 SDGsの波」

 

参考 (2022年6月17日閲覧)

トヨタ自動車株式会社 サステイナビリティ SDGsへの取り組み

https://global.toyota/jp/sustainability/sdgs/#/earth/attempt/

UNIQLO Sustainability ユニクロとSDGs  服のチカラを、社会のチカラに

https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/sustainability/sdgs/index.html

Green Sports Alliance グリーンスポーツアライアンスについて

http://www.greensportsalliancejp.org/who/

Climate Pledge Arena (n.d.) Sustainability. Retrieved June 17, 2022, from

https://climatepledgearena.com/sustainability/