非正規教員はコマじゃない 待遇の改善を

 

学級担任などを任されながらも「非正規」で働く臨時教員が全国で増えている。22日に掲載された日本経済新聞の記事にそう書かれていました。担任の先生は「非正規」 重い業務負担、手取りは19万円という見出しの記事は、臨時教員の現状と課題について触れています。

内容に立ち入る前にまず臨時教員とはどのような人を指すのでしょうか。非正規教員は臨時で任用される常勤教員(臨時教員)と非常勤講師に分かれます。非常勤講師の仕事が担当する授業のみなのに対して、臨時教員は正規教員とほぼ同じように勤めなくてはなりません。小学校では担任を任されることも多く、中学校では部活動顧問にさせられることも。職員会議といった諸会議に参加するのも臨時教員の特徴と言えるでしょう。

教員採用試験に落ちた場合にどういった進路があるのかをまとめた教育新聞の記事では、臨時教員について以下のように述べています。「臨時的任用教員として着任すれば、正規教員とほぼ同じくらいの量の仕事を任せられます。4月1日から1次試験まで、試験対策の時間はほとんど取れません。その代わりに、集中して長い時間を子どもたちや同僚と過ごすことができるので、その経験を論文や面接試験に生かすことができます」。つまり良く言えば現場での経験を積むことができて、悪く言えば正規教員になるための試験勉強の余裕はないということです。待遇が悪く、最長1年で雇用契約を切られる点も留意しておかなくてはなりません。

冒頭の日経の記事では実際に現場で働く臨時教員に取材をしています。筆者が最も印象に残っているのは九州地方の小学校で担任を務める女性(47)の話です。教壇に立って14年目で手取りは19万円強。正規教員が敬遠する『問題のある児童の多い学級』を任されたり、正規教員の授業補助に入ったりした経験もある。解雇の不安から引き受けたが『賃金は正規の方が上なのに』と不満を隠さない」とありました。筆者は問題のある児童が多いクラスほど正規教員が長期的に見守るべきだと考えます。臨時教員の間で不満が出るのも納得できます。

去年の春、朝日新聞の生活面で2020年まで中学の教員をしていた60代の男性が非正規の先生が大事にされない現実を訴える投稿を目にしました。現場は非正規の職員に支えられている状況で、こうした先生をただの「コマ」とみるような教育環境では、しわ寄せは子どもたちにいくと警告しています。政治家はよく演説のなかで子どもは国の宝だといいます。しかし、教育現場の現状をみると、上辺だけのように感じてしまいます。政府には臨時教員の待遇改善をするとともに子どもにしわ寄せがいかない対策を練ってほしいものです。

 

参考記事:

1月22日日本経済新聞デジタル版「担任の先生は「非正規」 重い業務負担、手取りは19万円

1月24日教育新聞「教員採用試験 落ちた場合の進路は?

21年4月19日朝日新聞朝刊生活面「(職場のホ・ン・ネ)非正規教員はコマ?」

19年11月6日NHKクローズアップ現代「揺れる“非正規公務員”~急増する背景に何が?~

時事通信「使い捨てられる教師たち 「非正規教員」制度の構造的課題