「希望の光」オリンピックだけではないのでは

先日、新国立競技場のすぐそばにある「日本オリンピックミュージアム」を訪れました。開催か中止か。様々な議論がされていますが、こんな時だからこそ、改めてオリンピックについて知るのも面白いかもしれないと思ったからです。

「日本オリンピックミュージアム」 筆者撮影

中に入ると、「オリンピックってなんだろう?」という問いかけのもと、その起源から現在までの発展を辿ったストーリーや歴史を学べます。プロジェクションマッピングで、陸上男子100メートルのウサイン・ボルト選手の歩幅とスピードを体感できる展示もあり、改めてアスリートの凄さを感じました。一番印象的だったのが、シアタールームで観られる過去の大会を映した映像です。選手たちが躍動する姿は美しくて力強いものでした。多くの意見はありますが、もし東京でも見られるとしたら嬉しいなと感じました。

ウサイン・ボルト選手の足跡 最高速度時の歩幅は約2.75m

その一方で、オリンピックばかりでなく、文化、芸術活動にも目を向けてほしいと感じることもあります。筆者の通う大学では一部の対面授業は再開されているものの、ほとんどの授業はオンライン形式です。当然ながらサークル活動も制限されています。現在、所属しているアカペラサークルは感染拡大が始まった昨年からずっと、ほとんどの活動をオンラインで行っています。

最近になってようやく対面での練習が認められるようになりましたが、一時間の練習を2回までとかなり制限されたものになっています。対面での活動が認められるのは練習のみで、発表の場であったライブはできません。数人が集まって歌を歌うという活動の特性上、仕方のないことなのかもしれませんが、距離を取ったり、マイクに飛沫防止のカバーをつけたり、練習の仕方や場所を工夫したりすれば十分に感染は予防できます。もう少し制限を緩めても良いのではないかと感じます。

オンライン上では録音した音声をもとに編集するだけです。やっている意味を感じられず活動に参加しなくなったメンバーが多くいます。練習をしている運動部は羨ましく感じてしまいました。

オリンピックを開催する意義の中で、「希望の光」「絆を取り戻す」といった言葉が語られていました。競技を見たいという気持ちがある一方で、「希望」となるのはオリンピックだけではないのではという思いもあります。スポーツに人を感動させる力があることは確かです。しかし、アカペラにとどまらず多くの文化、芸術活動やサークル活動が制限されている中、オリンピックよりもこちらを再開させてほしいという気持ちが強いのです。コロナ以前のような活動まではできなくても、友人たちと会って、一緒に好きなことをする。オリンピックのように大きなことではありませんが、それが日々の希望になると思います。

もし、オリンピックの影響で感染が再び広まるとサークル活動の再開もそれだけ遠のいてしまいます。開催するのであれば、万全の対策が講じられることを願います。

 

 

 

参考記事:

6月13日付朝日新聞デジタル 「(声)文化や芸術を軽視しないで」

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14938166.html