悪化する尖閣諸島問題 政府に危機感はあるのか

2010年9月7日、尖閣諸島付近で中国漁船が日本の海上保安庁の巡視船に衝突する事件が起きました。中国船の船長は公務執行妨害で逮捕され、他の船員も石垣島へ連行、事情聴取を行いました。しかし、中国政府が報復措置を繰り出し、日本政府は次々と中国へ帰国させました。25日に船長は本国へ送還され、メディアは「英雄」と取り上げました。約10年前の出来事ですが、未だに衝突時の映像と、帰国した船長の笑顔とピースサインの写真が忘れられません。

さて、尖閣諸島問題は良い方向へ進んでいるのでしょうか。答えはNOです。むしろ悪化しているように見えます。連日のように報道される、中国船による尖閣周辺の接続水域侵入。昨年だけで333日と、過去最多を記録しました。2月1日から、海上警備を担う中国海警局の権限などを定めた海警法が施行されます。海警に退去命令や強制退去の権限、緊迫すれば武器使用を含む措置を認める内容が明記されています。

一方、海上保安庁は海上保安庁法第20条の2により、外国の軍艦や各国政府が所有または運航する船舶に対しての武器使用は認めていません。丸腰の日本と武装の中国。さらには日本政府の腰は重く、有効な策も打てていないのが実情です。

この10年間は何だったのでしょうか。遺憾という言葉で片づけてきたツケが回ってきたのです。現場の漁師はますます窮地に立たされ、貴重な漁場が奪われてしまうかもしれません。

具体的には自衛隊の防衛出動を考える必要があると思います。しかし、今の内閣総理大臣は最悪の状況に陥った時に決断できるのか。これまでのコロナ対策を考慮すると、期待はあまりできません。そこが心配であり、問題でもあります。領土を保全するために毅然として、かつ冷静に対応すると公表していますが、限界が近づいているようです。

根深い領土問題の解決へのターニングポイントだと思います。このまま弱腰な対応でいいのでしょうか。これからの政府の動向に注目です。

参考記事:

29日 日本経済新聞朝刊(大阪13版)4面「尖閣防衛 法整備論が再燃」

参考資料:

外務省HP 日本の領土をめぐる情勢(尖閣諸島)