夏祭り、現地に行くか、オンラインにするか

 

 

先週の土曜日、東京の南郊、町田駅の周辺を歩いていたら、夏祭りをやっているのを見かけました。広場にはいくつものテントが張られ、お年寄りから小さな子供まで、幅広い年齢層が集まっていました。歩道を渡りながら、朝早くてこれなら、午後になるともっと多くの人がやってくるのだろうなと思いました。

今年の夏は、ライブイベントや受験生向けのオープンキャンパスなど様々な催しが春に続けて中止や延期に。では、風物詩の夏祭りはどうだったのか。調べてみたところ、主催者の判断次第でした。中止にするところもあれば、実行するところも。開催したところも、入場での検温があったり、人数規制をしたり、とそれぞれ手を打っていました。

しかし、どれだけ感染防止をしたところで多くの人が密集するのは避けられません。たとえ、人数を抑えたところで、数人集まっただけで感染する危険性があります。この時期に、夏祭りをやるのは正しかったのか。私が当事者なら頭を抱えたことでしょう。

開催するならするで、それなりの事情があったのだと思います。今月10日にNHKのWebサイトに掲載された記事によると、夏祭りの中止により東北経済には大打撃が。「観光客による交通費や宿泊費などの消費の減少額は1264億円にものぼる」とのことです。朝日新聞では、夏祭りの中止に伴い注文が減っている金魚養殖・販売業界を取材しています。「4月から、祭り関連の注文がほぼない」という業者さんの生の声が載っていました。夏祭りがなくなったことでこれだけの損害が出ているのを知ると、開催に踏み切った主催者を責めることはできません。

とはいえ、こういった時にどうすれば…。筆者も考えてみました。すると、あるサイトが。「オンライン夏祭り」を開催した会社を見つけました。イベントを企画したのは株式会社オマツリジャパン。全国のお祭り情報を発信したり、お祭りに関わる記事を執筆したりしているそうです。

筆者も実際に同社のイベント「オンライン夏祭り2020」に参加してみました。お祭りは今月15日にありました。まず14時30分にオープニング。コメント欄を使って、すでに多くの人が交流をしています。それからすぐ「みんなで踊ろう!阿波踊り」がスタート。プロたちの阿波踊りを見ながら、筆者も自宅で真似てみました。しかし、九州の夏祭りしか参加したことのない筆者には難易度が高い。異文化交流みたいで楽しかった。他にも、泉州音頭やエイサーが開催されていました。

阿波踊りの様子、YouTube  オマツリジャパンのチャンネルより

 またホームページを見ると、お祭り以外の企画も。「グルメ横丁」です。夏祭りには、ご当地グルメがないと!ということで、今回お祭りに参加した徳島や沖縄の食べ物が紹介されていました。気に入ったら、購入もできます。

後日、オマツリジャパンに取材をすると以下のような趣旨の回答が。

形を変えてでも祭りを開催する意義としては、これまで培われてきた祭りという伝統文化を途絶えさせないことにあります。一回でも中止となってしまうと、そのまま祭りが途絶えてしまう可能性があるからです。また、オンライン夏祭り2020においては、祭り団体への寄付金も募りました。中止となった祭り団体への寄付を行うことで、祭り文化存続につなげたいとの思いから実施を致しました。

ただお祭りを開くのではなく、夜店を出せず困っている人たちや中止になった祭り団体のことも気遣う姿勢に感心させられました。

オンライン夏祭りの可能性を感じました。今回は、新型コロナウイルスをきっかけに開かれましたが、これからはさまざまな事情で夏祭りから足が遠のいた人を呼び戻すことが期待できそうです。例えば、熱中症対策。夏祭りを楽しみたい。でも、熱中症が心配。そういう人にはうってつけです。昼はオンラインで済ませ、夜は直接会場へ足を運んで…。これからはそうした楽しみ方もあるのかもしれません。

サンリオピューロランドのホームページより、8月20日、スクリーンショット

 

さて、夏もあと少し。中央大学の近くにある、サンリオピューロランドも盆踊り花火大会をオンラインで開催するようです。この夏は、パソコンを舞台にした祭りで、思い出を作ってみてはいかがでしょうか。

 

参考記事;

8月14日朝日新聞デジタル「金魚出荷、夏祭り出荷で「注文ほぼない」 選手権も中止」

 

参考資料:

8月10日NHK「夏祭り中止で消費減1260億円」

オマツリジャパン「オンライン夏祭り2020」ホームページ

サンリオピューロランド「おうちでKAWAII盆踊り花火大会 in Puroland」

 

 

 

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