縮む市民活動 弱者に影響

 経済活動の自粛にともない、雇止めや求人枠減少など雇用問題が深刻化しています。この影響は、私たち市民や社会のために働いているNPO法人にも及んでいます。ネットの調査によると愛知県内のNPOなど市民活動に取り組んでいる団体のうち78%が新型コロナウイルスの影響により定期的な活動を中止し、43%で収入が減少したそうです。

こうした団体は財政基盤が弱いことが多く、収入の減少は活動に大きな打撃を与えます。社会的弱者といわれる人たちに救いの手を伸ばす活動にあたっているため、その団体にとどまらずサービスを受けている人々にも影響を及ぼすことになり、社会的にも深刻な問題であると考えます。

例えば、名古屋にある「セカンドハーベスト名古屋」という団体は、東海3県で暮らしに困っている人たちに食料を配っていますが、このコロナ禍で支援のニーズは高まっているのに、人手を増やすどころか減らさざるを得ない状況に追い込まれているそうです。対象となる家庭に2~3週間分の食料を郵送していますが、すべてボランティアの手作業に頼ってきました。いま密集作業は避けなければなりません。一人でも感染者が出れば活動を全面停止しなければならないというぎりぎりの状況にあります。

 私自身も国際協力を行う学生団体で活動していますが、休止することになった活動が多く、大きな影響を受けています。本来なら、夏休み期間に留学生を迎え入れ、日本での活動を支援するはずで、さまざまな準備を進めている矢先に新型コロナウイルスが蔓延しました。このため受け入れ中止を余儀なくされています。今後の活動に関しても、見通せない状況にあります。

学生としての限られた期間の中ですが、社会がよりよい方向に進むように活動しています。アフターコロナでこの事業が後退してはなりません。組織体制を整えたり、活動の在り方を考えたりする時間を作り、前を向いて活動してはいます。しかし、やりたかった活動が1年近くできないこの状況は残念でなりません。

 徐々にでも、こうした活動が再開できる環境になるよう切に願っています。

24日付 朝日新聞 29面 「コロナ 縮む市民活動」