書評

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著者に聞く

<『害虫の誕生』瀬戸口明久著>

――冒頭で「ゴキブリ」のことについて少し触れていますが、「ゴキブリ」は害虫とはいえないのでしょうか。

◆チャバネゴキブリがコガネムシ?

 ふつうの人は害虫と位置づけていますが、研究室では実験動物としても重要な存在です。戦前は野生の中にいる昆虫というイメージでした。家の中に入ってきたのは最近のことです。「ゴキブリ」は戦後になって害虫イメージが広がったんですが、食料のある家にしか寄っていかなので、それ以前は豊かさの象徴でした。「チャバネゴキブリ」を「コガネムシ」と呼んでいた地域もあったぐらいです。

――新種の害虫というものは次々に誕生してくるのでしょうか。

◆あらたな害虫が出てくる

 この50年を見てもある害虫を駆除したことで、あらたな害虫が出てきています。たとえば、「ツマグロヨコバイ」という害虫がいるんですが、かつては「ニカメイガ」など、もっと重要な害虫がいたんです。ある害虫をターゲットにして農薬をつくって駆除すると、また新たな害虫が出てくる。その繰り返しなんです。

――戦後の害虫駆除についてはあまり触れられていませんね。

◆戦後をもっと書きたかった

 戦後をもっと書いていけばよかったという反省があります。現在は害虫の駆除法で統一したものはありません。環境に配慮して農薬をなるべく使用しないで害虫を駆除する活動が活発です。それから、この本では日本の害虫対策についてはかなり詳しく書きましたけど、台湾のことが書き足りませんでした。日本の政府は戦前、台湾で農業政策を試験的に行っていましたが、そのへんをもっと書き込めばよかったと思います。今後の課題ですね。

――次回作を楽しみにしています。


【プロフィール&近況】

 瀬戸口明久(せとぐち・あきひさ) 1975年、宮崎県生まれ。京都大学理学部(生物科学)卒業後、同大文学部(科学哲学科学史)卒業。同大大学院文学研究科博士課程終了。現在、大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部准教授。生命科学と社会の界面に生じる諸問題について、科学技術史と環境史の両面からアプローチしている。共著に「トンボと自然観」(京都大学学術出版会)などがある。

 「どちらかというと、書斎派で外に出かけて虫をつかまえるようなことはしません。こういう研究をしているので、野外に出る機会も多いのではないかと思われるんですが、一日中、研究室の中で過ごすタイプです。これといった趣味もないんです。これからはなるべく外にフィールドワークを広げていきたいと思っています」


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