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2009年07月25日

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<シベリア抑留死亡者・名簿に刻す>村山常雄さんに聞く(8/10)



Q 戦争を知らない若い人たちに何を伝えたいですか。

 亡くなった犠牲者を数字で言っても、中身が伝わってきません。数字に置き換えてしまうと、数字そのものが頭に残るだけであって、イメージできないんです。たとえば、3万人という犠牲者を伝える場合、名簿は無言で訴えかけます。「ひとり、ひとりが死んだんだよ、犠牲になったんだよ。命はひとり、ひとりにひとつしかない。それが、亡くなったんだよ」ということを。名前を添え、数字を実在に置き換えるとインパクトがあります。名簿は「何月何日に亡くなったんだよ。この人には家族もいて、犠牲になったんだよ」と強く語りかけます。それで、「だから、二度と、戦争をしてはいけないんだ」と分かってくるんです。新潟県内の中学校で生徒を対象に「平和」についての講演をすることがあります。そのあと、感想を書かせると原稿用紙に書ききれないぐらいたくさん書いてくれます。私はまだ、若い人に期待しています。

 Q 今後、取り組もう思っていることはありますか。

 名簿は完結したわけではありません。やるべきことはやはり、名簿の整理、つまり、データの掘り起こしです。厚労省には2つの数字があります。モンゴルで亡くなった人を含めた5万5000人と、旧ソ連領内だけで死亡した5万3000人とを区分しています。現在、ロシアからもたらされているのは4万1000人なので、1万2000人がまだロシア側から届いていないことになります。つまり、「未提供名簿」です。ロシア側の名簿には重複箇所が多く、いまだに墓地などが把握できないで突き合わせ作業ができない人が9000人もいるんです。厚労省は国内で作成した1万2000人と9000人の計2万1000人の名簿をロシア側に提出し、すべてあたってほしいと強く要請すべきです。
 もっとも、厚労省では最近、動きがあったようです。実は、私が日本自費出版文化賞の授賞式に出席することを知った厚労省の職員からメールをもらいました。厚労省に立ち寄ってほしいとありました。行くと、審議官に会わされ、審議官は「今年度中にロシア側から死亡者だけではなく抑留された者すべて、死亡者を含むすべて70万人の個人資料が送られてくることになっている」と言うんです。そして、「そのデータ処理をどう進めたらいいのか、意見を聞きたい」と尋ねられたんです。資料をコピーした見本を見せてくれました。抑留者の調査票で15項目の質問事項が添えられたものでした。ロシア側は今年度中にこの資料をマイクロフィルムで送ってくるようです。そうなった場合、その資料と現在、厚労省に保管されている国内名簿と突き合わせていくことになります。膨大な量ですから大変な作業になります。だけど、70万人という数がちょっと不自然な感じがします。ロシア側ではこれまで抑留者は62、3万人と言ってきたので、資料には重複も随分あるんじゃないかと思っています。

 Q 「シベリア抑留」に対する戦後の政府の対応に意見はありますか?

 政府の戦後処理はきちんと行われていません。長く裁判にもなっている抑留体験者への労働補償の問題もその一つです。また、遺骨の在りかさえ分かっていない抑留死亡者も多いんです。日本政府もロシア側にきちんとしたデータの提供を求めていくべきです。予算をとるなり、チームを組むなりして具体的に対応していってほしいです。やり遂げる努力をしてほしい。
 ロシアのエリツィン元大統領が来日したとき、彼は1日5回にわたり謝罪しました。しかし、実態が伴っていないんです。「抑留は国家的な犯罪でした」と言ったけれど、本当に謝罪したのでしょうか。

 →次ページに続く(寄稿・抑留者団体の取り組み)

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