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2009年07月25日

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<シベリア抑留死亡者・名簿に刻す>村山常雄さんに聞く(5/10)



 Q 完成したのは?自費出版することになった経緯は?

 96年2月にスタートし、05年8月に4万5811人のデータベースが完成し、これをネット上に「五十音順名簿」として公開することにしました。このことが思いも寄らぬ反響を呼んだのです。複数の新聞、メディアによって報道されて、06年4月には「第40回吉川英治文化賞」を受賞しました。その後、さらに追加データを加え、07年7月末、4万6300人の名簿に解説、資料をつけて「シベリアに逝きし人々を刻す」と題し自費出版しました。データベースが完成したとき、教え子のひとりにだけ名簿のことを打ち明けると、彼はネットでの公開を勧めてくれました。ところが、もうひとりの友人はインターネットで公開することに反対でした。「本にするなら、ネットで公表したら損じゃないか」と言うのです。名簿は最初から本にすることを念頭に置いていましたので、彼は先を見越してそうアドバイスしてくれたのでしょう。結果的にインターネットに出したことがよかったと思います。遺族からの問い合わせなどがグンと増えました。
 問題は出版でした。出版に関してはズブの素人です。資金がいくら掛かるのか分かりません。自分で好きで始めた作業ですから、人に頼るわけにはいきません。それは覚悟の上でした。自費出版で刷った部数は1000部。一冊、1万円という計算で計1000万円。最初からこのぐらいの経費が掛かるだろうと想定していたので、あらかじめ資金を用意しました。あとになって、いろんな人からよく「国のやる仕事をどうしてそこまでやるの?」と言われるんですが、その都度、私は「自分がやりたいから、自分の責任でやるんだ」と話しています。そういった手前、教え子に「買ってくれ」とは言えませんでしたね。新潟県内で2年に1回、自費出版を対象にした県主催の「新潟出版文化賞」というのがあるんです。一昨年、この本が出たとき、さっそく応募してみたら、あとで条件のひとつとして題材は県内のことに限るとあったんです。私の本は明らかに対象外です。それでも、大賞に次ぐ特別賞をいただけたんです。選考委員長は作家の新井満さんでした。

 Q この本は全国の図書館などに収蔵されているということですね。どのように読まれているのでしょうか。

 都道府県立図書館のすべてと、主な市区町立図書館(約80館)、国公私立の主な大学図書館(約110館)に寄贈しました。報道機関にも寄贈しているので、マスコミ関係者で関心のある人は目を通しているはずです。読んでいるのはやはり遺族でしょうね。400部ぐらいを遺族が買ってくれたのではないかとみています。遺族の中には、2万円を送ってくれたり、50万円という遺族もいました。それだけ喜んでいただけたのです。
 想定外だったのは本の販売を委託した会社が倒産してしまったことです。代金を回収しようとしても、売り部数の半分ぐらいしか戻ってこないんです。それで、残った本をすべて引き取って、まだ置いていない大学図書館などをチェックして寄贈しました。現在、私の手元に残っているのは30冊です。抑留のことを知らない世代もぜひ、本を手にとって開いてみてほしいですね。名簿は名前が並べられているだけですが、自分と同じ苗字をみつけ、そこでふと立ち止まって「抑留者はこんなにいたのか」ということを記憶のなかに刻んでくれるだけでいいんですよ。

 →次ページに続く(4年間の抑留生活)

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