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2009年05月16日

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<新型インフルエンザの現状と対策>岡部信彦氏(1/10)

 メキシコから世界中に広がった新型インフルエンザは、日本でも感染者が確認されるなど拡大の勢いは強まっており一層の警戒が必要です。厚生労働省の新型インフルエンザ専門会議の議長を務める岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長が、5月8日に日本記者クラブで行った現状と対策についての講演内容を掲載します。(あらたにす編集部)

◆パンデミックかどうかが問題

 北米に端を発した今回の新型インフルエンザは、(猛威を振るった鳥インフルエンザのような)H5型ではありませんでした。これは、安心材料ではある一方、気を緩めてよいというわけではないのです。
 最初にインフルエンザの定義を説明しますが、パンデミック(大流行)と区別するために、季節の、いつものインフルエンザ、Seasonal influenza virus、というものがある。これは人のインフルエンザです。それから、インフルエンザというのはいろんな動物に分布しますが、中でも鳥が一番持っているもので、これが鳥のインフルエンザ(Avian influenza)。見た目はまったく同じですけれど、中にある遺伝子構造とか、表面の構造が少し違っていて、なかなかほかの動物にはお互い行き来はしないものです。
 それから豚のインフルエンザは、一般の人にはなじみはないと思いますが、Swine influenzaという言い方をします。それから、日本ですと、新型インフルエンザという言い方で全部表していますけれども、Novel influenza virusというのは、「人にとって」新しいインフルエンザでありまして、それが動物、豚(Swine)から来ることもありますし、鳥(Avian)から来ることもありますが、それは人にとって新しいインフルエンザということで、新型インフルエンザです。
 新しいか古いかは別として、地球規模で流行するものをパンデミック(大流行)・インフルエンザ(Pandemic influenza virus)というふうに言ってます。地球規模での大流行が来るのではないか、というのが一番の問題です。

◆パニック度を下げる

 現在取り組んでいる課題として、「水際作戦」「封じ込め作戦」というものがあります。これは当初から言われていたことなんですけれども、そうした対応だけでなく、実際に患者さんが多くなった場合の医療、一般社会での対応を考えることが必要であると思います。「水際作戦の失敗」ということをいろんな人がおっしゃいますが、水際作戦をしてすべて防ぎきれるものではない、そういう相手ではないので、入ってくる以上は「失敗」とか「成功」とかではなくて、次の作戦としてのスイッチの切り替えが必要だということを新型インフルエンザ専門家会議でお話ししました。わたしはこの会議の取りまとめ役のようなことをさせていただき、この会議での内容をベースにして政府の省庁間会議で国のガイドラインがまとめられました。
 新型ウイルス対策で最も重要な点というのは、一時的に患者が急増する、あるいは新しい病気が出てくるというときに、「判断する人」これはおそらく政治家であろうし、行政を担当する人、それから患者さんに直面する医療関係者ですが、これらの人とそれからメディアの人たちのパニック度を下げることだと思います。従って、私たちの感染症情報センターは、できるだけいろんな説明をする、一般の人たちへの説明もありますが、「判断する人」たちにできるだけ情報を提供するというのが役割だと思います。

 →次ページに続く(全10ページ)

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