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2010年01月21日

吉井 妙子 スポーツジャーナリスト 経歴はこちら>>

岡崎朋美“アラフォー”のパワー(3/4)



 だが岡崎も、順風満帆に競技人生を重ねてきたわけではない。むしろ、傍から見ていると「もう無理なんじゃないか」と思う場面が幾度もあった。その最大の危機は、椎間板ヘルニアを患い、緊急の手術を要した2000年だったように思う。

 髪の毛一本の違いを感じながら推進力を稼ぐスケート選手は、腰が命綱。そこにメスを入れればアスリートとしての終焉を意味する。これまでに、腰にメスを入れ第一線に復帰した選手はいなかったからだ。しかし岡崎は、周りの大反対をよそに手術を決断。

 「手術をしなければスケートは出来ない。メスを入れれば一縷の望みはある。可能性があるほうを選ぶのは当然でしょ。それに、腰の手術をして復帰した選手がいないなら、私がその第一号になってやろうじゃないの」

○「ゼロからのやり直し」にもへこたれぬ精神力

 幸い手術は成功したものの、退院してがく然とした。血を吐く思いをしながら、10年の歳月をかけて作り上げた筋肉をすべて失ってしまったからだ。普通のアスリートなら、この時点で引退を決意する。が、岡崎は違った。

 「こうも簡単に筋肉が落ちてしまうのにはビックリしたけど、裏を返せば、また作れるということでもあるでしょ。スケートを始めた頃に戻ってゼロからやり直せばいいんです」

 20年近く岡崎を見てきたが、彼女の明るさと、何があってもへこたれず、前を向き続ける精神力の強さには本当に恐れ入る。稀代のアスリートと断言できる。そして誰に対しても気さくだ。

 年末の選考会には、ある雑誌の女性編集者も同行した。彼女は岡崎のスケートを見るのは初めてである。パワフルな滑りに感嘆していると、岡崎が彼女に声をかけてきた。
 「疲れた顔をしていますね。メリハリなく仕事をしているんじゃないですか。人間の集中力ってそんなに長持ちするもんじゃないんですよ。オンとオフのけじめをしっかりつけながら取り組んだ方がいいんじゃないですか」

  →次ページに続く

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