2009年07月27日
| 吉井 妙子 | スポーツジャーナリスト | 経歴はこちら>> |
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メジャーでは、投手の肩は消耗品と考えられており、よく“砂時計”に例えられる。そのためチームの首脳陣は、出来るだけ砂の減りを少なくしようと、投手の球数を徹底して管理する。先発投手が100球近くなると、どんな試合展開であろうと降板させられるのはそのためだ。メジャーの不文律と言ってもいい。
松坂は、メジャーのこの考え方に1年目から悩まされてきた。勝ち星を重ねる一方で、本人は顔を曇らせ何度かこう呟いた。
「この環境の中で練習を強いられ続けたら、僕は日本のようなピッチングはもう出来なくなるかも知れない…」
○“投げ込みで肩を作る”はメジャーでは論外
春、夏の甲子園を連覇した高校時代、そして8年間の西武時代、松坂は徹底した投げ込みを繰り返しながら肩を作ってきた。それがスピードを増し、変化球の精度を高める練習方法だと信じてきたからだ。しかし、肩のパワーはウエイトで作るという考え方のメジャーでは、この日本式の調整方法は、“論外”と片付けられてしまったのである。
投げ込みで肩を作りたい松坂は、コーチの目を盗んで練習しようと試みたこともあった。だがすぐにコーチに気づかれ、そのうちキャッチボールでさえ、カウンターを手にしたコーチから監視されるようになった。
この2月、WBCの練習を兼ねて西武の春のキャンプに合流したところ、レッドソックスの巡回コーチが来日して、松坂の投球数を厳しく管理する始末。とにかく、投げさせてもらえないのである。肩が出来上がらないまま出場したWBCでMVPを受賞したのは、何が何でも日本に勝利を導びこうと、残った肩の貯金を使い果たす覚悟と引き換えに手にしたものだった。
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