2009年03月05日
| 古城 佳子 | 東京大学大学院総合文化研究科教授 | 経歴はこちら>> |
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教育問題はいつの時代にも関心がもたれるテーマである。しかし、現在のような先行き不透明で多くの知恵が必要とされる時期、教育はさらに重要な課題となっている。
折しも入試シーズンが終わりつつある中、入試にまつわる記事が「あらたにす」3紙でも取り上げられているが、その中で、日本経済新聞は「知が危ない」という連載を3月2日(社会面)から始めている。
3日付けは「異国を見ない若者」というテーマで、高校生や大学生の海外留学への関心が薄れ、「グローバル時代に逆行するように知的冒険に背を向け」、若者の内向き志向が強まっているとして、その傾向を憂えている。
○垣根低くなっても出て行かない
ここでは、グローバル化するということと内向き志向が同時に起こっている、ということが端的に示されている。グローバル化が進むことが、国境という垣根を低くすることになることは間違いないが、人々を外に向けて出て行かせることになるかというと、この記事が指摘しているように、これはそれほど自明なことではない。
通信や交通の発達により、外国への距離は以前とは比べものにならないほど近くなり、国境を越えた人々の行き来は増大の一途をたどっている。にもかかわらず、なぜ海外へ留学しようとする若者が少なくなっているのか。
これには、色々な理由が考えられるだろう。日本が経済的に豊かになり、欧米といえども、あこがれの対象とならなくなったことは大きな理由であろう。
しかし、これと同様に大きな理由は、情報や物がすぐ入手できるというグローバル化の恩恵があるからではないだろうか。
→次ページに続く(わざわざ留学しなくても…?)