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2010年08月24日

古城 佳子 東京大学大学院総合文化研究科教授 経歴はこちら>>

日本版“USTR”は要らないか?(1/3)

 8月半ばの各紙は、内閣府が公表した4-6月の日本の国内総生産(GDP)が中国の国内総生産よりも下回ったため、中国が日本を抜いて世界第2位の経済大国になったと報じた。

 中国が世界第2位の経済大国になるのは予想されていたことではあるが、戦後の高度成長によりイギリス、ドイツ(当時は西ドイツ)を抜いて長らく世界第2位の地位を維持してきた日本からすると感慨深い(あるいは、日本経済の低迷を嘆く向きもあろうか)。

 今後、アメリカと中国の1位と2位はしばらく揺るがないだろうし、米中の経済関係はますます相互依存を強めていくだろう。読売新聞の特集記事「メガチャイナ 米中新時代」の連載では、貿易や金融を始め、直接投資、情報、技術、教育等でも中国とアメリカとの関係が深まっていることが示された。中でも、アメリカの大学院で2008年に博士号を取得した学生の出身大学ランキングで、アメリカの大学を抑えて1、2、4位に中国の大学が入っていることには、ここまで中国が進出しているのかと驚いた。

○中国版USTR

 相互依存が深化することは両国の関係を密接なものにするとともに、摩擦の種も増加しつつある。これは、かつての日米関係でも起こったことである。中でも、多少赤字額は減少しているものの、アメリカにとって中国が依然として最大の貿易赤字国であるため、人民元のレートの低さ、知的財産権保護やWTOのルールの遵守の不十分さ等についてアメリカは中国にその是正を要求している。アメリカの雇用状況の改善が進まなければ、中間選挙を控え、アメリカの中国に対する要求は強まるものと予想される。

 このような状況の中、中国商務省が「国際貿易交渉代表」を設けることを発表した。これを報じる日経新聞(8月17日付朝刊)は、「中国版『USTR』新設」という見出しを使い、中国政府はアメリカ通商代表部(USTR)を意識した交渉の窓口をつくり対米交渉を有利に進める狙いがあると述べている。多国間と二国間の交渉について責任を持ち、国内の調整をも行う組織となるようだ。

  →次ページに続く(USTRは…)

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