2010年03月08日
| 桐村 英一郎 | 神戸大学客員教授、元朝日新聞論説副主幹 | 経歴はこちら>> |
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国の温暖化対策の基本施策を盛り込む「地球温暖化対策基本法案」の取りまとめが難航している。鳩山政権は当初3月5日の閣議決定をめざしていたが、閣内の意見がまとまらず、今週以降に先送りしたという。
日経新聞によると、背景には排出量の総量規制方式に産業界が難色を示している、社民党が原発推進を明記しないよう求めている、などの事情がある(2月26日付)。朝日新聞は「密室の議論」に産業界や労働組合、環境NGOから批判や不満が出ている、と伝えている(6日付)。
各種のエネルギーをどんなバランスでいかに賄うか、は資源に乏しい日本の将来を決める問題だ。温室効果ガスの25%削減に向けた「つじつま合わせ」では済まされない。「普天間」や「政治とカネ」も大事だが、新聞は社説を含めこの問題をきめ細かく報じ、論評してほしい。
〇将来の原発依存度に国民合意が必要
論議の主軸は「原発」に置くべきだ。つまり「将来的に電力のどれくらいを原子力発電に依存するか」について政府がきちっとした考えを示し、国民の合意をつくることが先決だと思う。社民党に気遣いして、原発について曖昧な表現で逃げるようなことをしたら、空虚な法案になるだけでなく、この国のエネルギー政策全体に悪い影響があるだろう。
「温室効果ガスの排出量を2020年までに90年比25%削減する」という目標は、かなりハードルが高い。そこで原発推進派は原子力に過大な期待をかけ、反対派・懐疑派は太陽光や風力発電など自然エネルギーに過大な期待をかける、という二極化が起きる。
そのどちらも現実的ではない。温暖化対策法案を「精神論」「理想論」にしないために、まず原発の可能性と限界を冷静に見つめて、それへの依存度を大枠で固めることだ。そのうえで、石油・石炭などの化石燃料や、新エネルギー・再生可能エネルギーのあるべき比率を打ち出し、それに向けての具体策を講じる、という手順が好ましいのではないか。
→次ページに続く(温暖化論議が追い風になっているが…)