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2009年09月14日

歌田 明弘 コラムニスト 経歴はこちら>>

自民党「あいまい政策」の終焉がもたらすもの(1/3)

 鳩山氏が「Voice」誌に書いた文章がアメリカのメディアに転載され、「反米的」と 物議を呼んだという。「新しい日本はアメリカ主導の市場原理主義を拒絶、東アジアの 統合を模索」という見出しで通信社が配信したとのことで、ニューヨークタイムズのサ イトにも「日本の新しい道(A New Path for Japan)」というタイトルで掲載されてい る。

 鳩山氏側は、自分たちが知らないうちに抜粋され、意図が通じていない と感じているようだ。
 「Voice」誌の原題は「祖父・一郎に学んだ『友愛』という戦いの旗印」で、このタ イトルどおり、この文章の主眼は、鳩山氏の祖父譲りの政治哲学「友愛」の説明にある 。しかし英訳では、配信タイトルの部分に重点を置いて抜粋されたため、印象が変わっ た。

 編集者としては、短くするのであれば、読者がもっとも関心を持つ部分に焦点をあて る。となれば、外国の読者ということも考えて、鳩山氏が具体的に何をしたいと思って いるのかがわかる部分にしぼるというのは当然考えられることだ。読み比べてみると、 違いは明らかだが、こうした編集者の発想は妙とはいえない。

 ただ承諾を得るさいに編集部とのあいだで行き違いがあったようで、不幸な偶然が重 なった結果ということはあるのだろうが、少し突き放して言えば、これはある意味では 、政権交代によって起こるべくして起こったことのようにも思える。

 「核の使用は絶対悪」という認識が広まる日本と、「日本への核の使用は戦争を終わ らせるために必要だった」と信じるアメリカの認識の隔たりというそもそもの発端から 始まって、第2次世界大戦以後、日本とアメリカの「常識」は大きく隔たってきた。

 鳩山氏の原稿をめぐるアメリカでの騒動の根っこにも、「市場経済は悪の元凶」とい ったあまりに単純素朴な認識がそれほど抵抗なく受け入れられる日本と、「市場経済を 否定するのは資本主義を否定するのと同じ」と考えるアメリカの「常識」との隔たりや 、日本がアメリカと距離をおいて他の国と関係を強化しようとするたびに起こる摩擦と いった、かなり根深い問題も潜んでいる。

○日米の常識の違いを覆い隠していたもの

 こうした数々の「隔たり」を糊塗するために、長らく政権に就いていた自民党は、一 種の「あいまい政策」をとってきた。アメリカ政府に言うことと国内で言うことをたが え、国会やメディアでは、何が言いたいのかよくわからない、よく言えば「慎重」、悪 くいえばその場しのぎのいい加減な発言にしばしば終始してきた。

 こうしたことは、戦後かなりの期間それなりに機能してきた面はあったのだろうが、 日米間の情報の「壁」が低くなればなるほど、奇妙なものになってきた。

  →次ページに続く【シラ切り続けた外交密約】

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