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2009年08月26日

歌田 明弘 コラムニスト 経歴はこちら>>

なぜ政策は“パッケージ購入”なのか(1/3)

 マニフェスト選挙は評価が高いが、投票する側が困るのは、政策がパッケージになっていることだ。この党の外交政策には賛成するけれど経済政策は評価しないとか、社会保障政策は賛成だけど教育政策はどうも、といったことが起こる。

 もちろんいままでもこうしたことはあったが、これまでの政権公約は、守られないことも多かった。
 しかし、マニフェスト選挙では、そうしたいい加減なことではいけないことになった。マニフェストは守る、もし守れないときには、次回選挙でそれなりの「落とし前」をつけさせてもらう、というのが、この選挙スタイルの原則だ。

 これはいいことにはちがいない。守られない約束をいくらされても仕方がないし、タレントではないのだから、政治家は、見てくれなどではなくて、政策で選ぶべきだ。
 しかし、誰に投票しようかと思って、マニフェストを見比べたりすると、最初に書いたような「困ったな」ということが起きる。この政策は賛成だけど、これはむしろやめてほしい、ということだってある。

○「パッケージ販売」はもはや流行らない

 消費行動で言えば、そもそもパッケージで売るというのは、明らかにもはや「流行らない」やり方だ。消費者はパッケージで売られることを歓迎していない。

 その代表例は音楽で、リスナーは気に入った曲だけ購入して、自分のプレーヤーに入れ、好きなように聞いている。こうしたリスニング形態が広まったために、アルバムが売れなくなった。
 雑誌の低迷も、記事をパッケージ化して売っているということが原因のひとつではないか。関心のある記事だけ読みたいという読者の期待にあっていない。
 ニュースも、いろいろな報道機関が提供している記事を、関心のあるものについて拾い読みしていくということが、ウェブでは一般的になってきた。

 このように、コンテンツの消費については、パッケージではなくて個々のコンテンツについて選ぶというスタイルが広まっている。それなのに、政策については、なぜあいかわらずパッケージで「購入」しなくてはいけないのだろう。

○投票は「気力で決める」しかない?

 朝日新聞8月14日夕刊のインタヴューで、政治学者の佐々木毅氏は、「ベストを選ぶ選挙はどこにもない。ベターなら御の字」と丸山真男氏がよく言っていたと恩師の言葉を紹介しながら、投票では、「だいたいは悪さ加減を勘案して、最後は気力で決めることになるのではないか」と言っていた。

 「気力で決める」というのは言い得て妙だ。
 百パーセント同意できるマニフェストなどというものは望むほうが無理で、たしかに「最後は気力で」エイヤっと決めるしかないのだろう。

  →次ページに続く(ニュース知らぬ「暗黒時代」へ逆戻り)

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