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2009年02月12日

歌田 明弘 コラムニスト 経歴はこちら>>

取材が絶対か――低成長時代のマスメディア(2/3)


 「経済が右肩上がりのときは、余ったお金をどう分配するかを政治は考えればよかったが、低成長で財政が逼迫しているいまは、それではすまない」といったことが言われるが、これはそのままメディアにもあてはまることだろう。

 「ここに困っている人がいる。なんとかしろ」と声高に叫ぶのがマスメディアの第一の使命というのは、高度成長時代の発想なのではないか。虫の目で取材を重ね、問題のありかを部分的に指し示すだけでは、ほんとうの解決策を求める社会のありようにあわなくなっている。

○具体的データ発掘し報道すべきだ

 定額給付金の例で言えば、伝える必要があることは、「定額給付金をほしいと思っている人もいる」というわかりきったことではない。また、このコラムが指摘するように、実際の生活においてどれだけ価値があるかといったことでもないだろう。

 もっと重要なのは、給付金を配ることが社会にとってどういう意味があるかということだ。それを見るには、経済的な観点のデータを示すことも必要だ。

 しかし不思議なことに、そうした記事を読んだ記憶がほとんどない。学者などの寄稿や短いコメントなどでは指摘されたこともあるが、これは新聞記者が書くことではないのだろうか。

 こうした記事は、そもそもどのセクションの担当なのだろうか。政治の話だから、政治部の管轄なのかもしれないが、政治部の仕事は、政治家や官僚などに密着して政局の動きを伝えることが最大の任務のようだし、経済の知識も必要だから政治部の領域ではないのだろう。

 経済部かと思うが、経済部の大きな仕事は企業の動向を報じることのようだから、経済全体の動きを見わたして記事を書くのは少し違ったことなのかもしれない。

 私は、新聞記者に、経済学的な知見を披瀝してほしいと思っているわけではない。それならば、たしかに学者の領域かもしれない。しかし、基礎的なデータや資料を発掘して報じるという一次情報を追いかける新聞記者にふさわしい仕事があるのではないか。

 給付金はGDPを押し上げる効果があると政府は説明しているが、その裏付けは何なのか。この政策が出てくる過程の議論にはどのようなものがあり、どういった数字が出ていたのか。政府の説明とは違った数字は上がっていなかったのか。民間の研究所や専門家は具体的な効果をどう見積もっているのか。また10年前にやった地域振興券の経済的効果はどうだったのか。海外の例はどうなのか。

  →次ページに続く(不毛な水掛論争はいらない)

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