2009年11月18日
| 森 まゆみ | 作家・編集者 | 経歴はこちら>> |
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好きな小説にヘルマン・ヘッセ『秋の徒歩旅行』がある。その真似というわけではないが、「映像ドキュメント」の仲間と紅葉の吾妻渓谷に行ってみることにした。
映像ドキュメントは、わが住む東京・白山に事務所を持ち、映像という専門性を活かして平和に寄与することを考えるヴォランティア・グループである。
加藤周一さん、大江健三郎さん、井上ひさしさんなどの平和に関する講演会の映像記録を行い、インターネット上で誰でも見られるようにしているが、せっかく白山に事務所があるのだからと私たち谷根千工房に協力して地域の映像記録もはじめている。
話し合ううち、八ツ場ダムに関しての報道に疑問がでてきた。
例えばダム本体の工事はまだなのに、付け替え国道の橋脚が何の説明もなく、まるでダム本体工事であるかのように映し出されること。
ダム中止反対、つまり推進派の中心人物が一般住民としてテレビ番組で意見を述べること。
本当はダムに疑問を持ちながらも地域社会の圧力の前に意見も言えないでいる人たちが多いこと。
住民に朝日新聞はアンケートをとって、1面には中止反対7割の見出しが躍ったものの、実際は意見を表明したのは4割に過ぎないこと、つまり中止反対を正式に表明しているのは2割8分に過ぎない。
テレビでは、昭和22年のカスリーン台風の被害状況や1回だけ来たヘルメットのデモ部隊を何度も映し、刷り込みの危険を感じること。
補償金をもらって住民は儲けたといったデマがやっかみ好きの週刊誌などで振りまかれること。
とにかく行って、この眼で見たいという意見が出て、私は何度も行った八ツ場を案内することになった。
といっても地元住民の気持ちは固く閉ざされ、取材お断りを張り紙してある家も多いという。話を聞けるとは思えず、とりあえずは紅葉を見て温泉に入りましょう、というくらいの気持ちで、でもしっかり小型映写機を持って出かけた。
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