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2009年09月09日

森信 茂樹 中央大学法科大学院教授 経歴はこちら>>

問題は「官僚支配」ではない(1/3)

 衆院選の民主党勝因の一つに、脱官僚支配への国民の期待がある。
 日経は9月1日付の「政治主導の改革で成長と社会の安定を」と題する社説で、「官僚や族議員が強い力を持っていた統治の形を変えること…を期待したい」としつつ、官僚を上手に利用して政治主導への転換を説く。朝日は9月2日付社説で、「官僚への丸投げでなく、政権党が責任を持って決める。これが民主党の掲げる政権主導のシステムだ」としつつ、政と官の新たな協働を訴えている。

○違和感のある批判

 では、官僚支配とは何であろうか。これまでの報道内容を整理すると、「官僚は、本来専門的知識に基づき政策形成過程において大臣、政治家にアドバイスする機能であるにもかかわらず、実際には、自己に有利な争点だけを選別して政策決定プロセスに持ち込み、審議会等を隠れ蓑にして、実質的な意思決定を行い、法律の立案も担うことによって、官僚が完全に政策をコントロールしている」というものである。

 加えて、「長期間にわたる自民党族議員と官僚との複合体により、既得権益・天下りシステムが保持され、官僚はいい思いをする一方で、国民不在の政策や度重なる不祥事が生じてきた」ことが、官僚支配の弊害とされている。

 これに対して長年霞が関で予算編成に関与してきた私自身や現役の財務省の官僚たちには、そのような実感はない。たとえば、「自分たちで思うように意思決定ができておれば、今のような巨額の財政赤字は積み上がっていないし、消費税率も10%にはなっているはずで、それがそうなっていないことが、官僚支配ではないことの証左ではないか」とか、「入省間もない若手が政治家に転身するが、政治家にいいように使われることに嫌気がさし、自ら力を発揮したいと思うからだ」という声を多く耳にする。

  →次ページに続く(意思決定は政治家がしてきた)

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