2009年05月04日
| 森信 茂樹 | 中央大学法科大学院教授 | 経歴はこちら>> |
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4月15日の読売社説は、「金持ち優遇批判 感情的議論から卒業すべきだ」と題して、興味深い内容を論じている。
きっかけは、今回の追加経済対策に盛り込まれた贈与税減税が、住宅資金に限った500万円の拡大にとどまったことで、「これでは、消費刺激効果はほとんど期待できまい。使途の制限を緩和し、非課税枠を一層拡大する方向で、今後も検討を続けるべきだ」としている。
続けて、「余剰貯蓄の活用を『金持ち優遇だ』と批判する議論は、貯蓄額や保有資産が多い人だけを税制などで優遇するのは、税の公平性を損ね、経済格差を広げてしまうというものだ。確かに公平性への配慮は必要だが、それだけで有益な政策を葬る理由にはなるまい。巨額の余剰資産をうまく使えれば、雇用や所得を下支えし、結果的に低所得者の暮らしを守ることにもなる」として、「これまでも『金持ち優遇』との批判は、多くの重要な経済政策の実現を阻んできた」と記述している。
このような問いかけに私は全面的に賛成だ。経済政策を考える場合、経済成長と所得再分配の二つをセットで考える必要がある。経済成長の成果があって初めて所得再分配政策が可能となるからだ。逆に所得再分配がうまくいかなければ、経済成長はかならず行きづまる。
経済成長をもたらす最大要因は「投資」だが、その資金は、貯蓄からもたらされる。つまり、貯蓄を税制でどのように取り扱うかということは、経済成長・経済政策にとって極めて重要なポイントである。我が国をはじめとする先進諸国では、ほとんどといっていいほど、株式譲渡益や配当所得など(以下、「金融所得」)を、累進税率である給与所得などの勤労所得から切り離して、低い税率で課税している。この理由は、金融所得に累進税率をかけると、グローバルな資本移動のもとで、お金持ちは日本の課税権の及ばないタックス・ヘイブンに資本を持ち出し租税を回避しがちだからである。
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