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2009年07月10日

田中 早苗 弁護士 経歴はこちら>>

新型インフル報道、「第2波」への教訓(1/4)

 <マスクせず 外出したら 白い目線>――「新型インフルエンザ」とネットで検索していたら、「川柳大会」というページに、こんな句を見つけた(以下、引用川柳は同ページから)。

 「おまえらのために多くの人が迷惑している」「感染者を出した責任を取れ」と、児童や生徒が感染した学校には、当初誹謗中傷の電話がかかってきたという。
 そもそもインフルエンザは誰でもかかる病気だ。感染しても、多くの人には症状が出ず、発症していなくても人に感染する。誹謗中傷の電話をしている張本人が実は感染者だったということもありうるのだ。

○政府の行動計画の失敗

 今回の騒動、第一の責任は政府にある。
 政府の行動計画は、重症度の鳥インフルエンザH5N1を想定していたといわれるが、実は、SARS(重症急性呼吸器症候群・新型肺炎)に対する行動計画をインフルエンザに流用したため起きた失敗だったのではないだろうか。

 SARSは発熱後、感染が始まるまで数日かかり、空港でのサーモグラフィーでチェックできるが、インフルエンザでは、感染していても発症していない者もいるので、そういう旅行者を検疫では発見できない。世界保健機関(WHO)も今回は検疫を推奨していない(5日付け読売新聞)。

 また、「普通の病院には来ないで下さい」という政府の呼びかけで、「発熱外来」はパンク状態に陥った(6月12日付け朝日新聞)。そもそも、発熱外来の発想は、発熱後、感染開始まで数日かかるSARSとの混同であり、インフルエンザは、感染しても症状が出ないので、外来受診までに家庭や学校、職場、交通機関など周囲に感染を起こす機会が十分あり、欧米ではインフルエンザには発熱外来の発想がないと聞く(菅谷憲夫「新型インフルエンザ50問50答」文芸春秋7月号)。

 現役検疫官の木村盛世氏によると、このような政府の行動計画は、臨床経験のない一部の医系技官が作ったもので、毒性が弱かろうが強かろうが、インフルエンザに「水際封じ込め」などできるはずがなく、それを知らない人たちが作ったという(木村盛世「危機管理の無策を示した新型インフルエンザ対策」創8月号)。
 結局、その後、政府は、発熱外来を原則廃止し、検疫態勢を縮小する指針に改定した。

  →次ページに続く(メディアの過剰報道)

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