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2009年01月14日

田中 早苗 弁護士 経歴はこちら>>

【回顧・展望】裁判員制度に「死刑」「報道」考える(1/2)

 国民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」が今年5月21日、スタートする。すでに、約29万5000人の裁判員候補者に通知が送られた。

 裁判員による公判は1年間に約2000~3000件予定され、補充裁判員も含めればおおよそ1万~2万人が参加するといわれている(12月13日付け朝日)。これだけの国民が参加すれば、刑事手続きだけではなく、社会に与える影響は計り知れないことになろう。

○「死刑宣告できるか」に答えが要る

 まず、死刑制度について、本格的な論議が始まるであろう。

 6日付け読売新聞で、溝口烈社会部長は、裁判員制度を「せんじつめると、『あなたは被告人に死刑を宣告できますか』という問いに対し、国民が自分なりの答えを用意することではないかと思う」と書いた。

 裁判員になって死刑を選択できるか不安だと感じている人は多い。それにもかかわらず、「昨年末までに全国で550回の模擬裁判が開かれたが、死刑の言い渡しを想定した審理は一度もない」(12日付け東京)。

 そこで、NHKは、死刑相当事案の模擬裁判を実施した(12月6日放送「日本のこれから 裁判員制度」)。裁判員制度に肯定的だった参加者の一人は模擬裁判後、死刑判決に直面し、制度の反対論者になった。死刑相当事案が裁判員に与える心理的影響が計り知れないことが感じられる。

 事実認定だけでなく、量刑をも裁判官とともに市民が判断する制度はヨーロッパにもあるが、ヨーロッパは既に死刑を廃止している。ヨーロッパでは日本の裁判員が感じるような負担はない。アメリカのかなりの州でも死刑が廃止され、国連では1989年に死刑廃止条約が採択されている。

 昨年10月、国連の自由権規約委員会は、日本政府に対して、「世論調査の結果にかかわらず、死刑の廃止を前向きに検討し、必要に応じて、国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきである」と勧告している(日弁連HP参照)。

 以前、ヨーロッパでも世論は死刑存置が過半数を占めていたが、政府が世論をリードして廃止に至ったと聞く。日本では、国際的潮流が死刑廃止の方向に進んでいることを知らない人も多く、その中で死刑存廃について議論しているとおもわれる。

  →次ページに続く

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