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2010年03月12日

田中 早苗 弁護士 経歴はこちら>>

「霞ヶ関文学」に問題あり(1/3)

 岡田克也外相は、2009年11月、日米間の4種類の「密約」が結ばれた経緯や歴史的背景の解明を目指し、外務省に有識者委員会を設置した。その有識者委員会が9日、報告書を発表した。

 「おや?」と不思議に思ったのが、「沖縄返還後の核再持込」を密約としなかったことである。朝日の社説(10日付け)も、「当時の佐藤栄作首相とニクソン大統領が署名した文書の現存を確認しながら、『必ずしも密約とはいえない』とした。これには首をかしげざるをえない」と述べている。

 有識者委員会は、密約としなった理由を、合意議事録は佐藤首相自身が保管して政府内で引き継がれず、後の内閣を拘束する長期的な効力がなかったからだ、とする。

 これに対し、読売の社説(10日付け)は、「両国首脳が署名した重要文書の効力をどう評価するかについては議論が分かれるところだろう」といい、また、岡田外相も「定義にもかかわるが、(有識者委と)違う解釈もあり得る。一般常識からみれば、密約ではないかという気がする」と述べている(10日付け東京新聞)。

○広義も狭義も「密約」は密約だろう

 そもそも、有識者委員会は、密約を「狭義」と「広義」にわけ、「狭義の密約」を両国間の合意あるいは了解で、国民に知らされておらず、公表されている合意や了解と異なる重要な内容を持つものとし、「広義の密約」を文書のない暗黙の合意や了解と定義付けている。

 しかし、そもそも密約は、議会の承認や正式な文書作成者が整えられず、正式な手続を経ることができないから密約にするのであって、このような定義付けをする根拠がまずもって理解できない。

 「沖縄返還時の現状回復補償費肩代わり密約」問題で、密約の存在を訴え続けてきた元毎日新聞記者、西山太吉さんは、「広義、狭義を分ける必要がない。密約は密約だ」と述べている(10日付け東京新聞)。

  →次ページに続く(外務省が画策した?)

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