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2009年09月18日

水木 楊 作家、元日本経済新聞論説主幹 経歴はこちら>>

幸せの国ブータンで考えた(1/3)

 ブータンという国がどこにあるかご存知ですか。地図を見ると、ヒマラヤ山脈沿い、中国の南、ネパールの東、バングラデッシュの北に、まるで小さなシシトウをひとつ、大きなテーブルにぽつんと置いたような、小さな国がある。それがブータンです。

 総選挙の最中、このブータンに行っていました。(もちろん事前に投票を済ませて、です)

 この国の人口はわずか70万人。日本の都道府県で見て下から2番目の島根県とほぼ同じくらいに過ぎませんが、GNP(国民総生産)ならぬGNH(国民幸福度=Gross National Happiness)の“物差し”で、知る人ぞ知る、の国なのです。

 ブータンの王妃が、著書の中でこう述べています。「GNHの立脚点は、人間は物質的な富だけでは幸福にはなれず、充足感も満足感も得られない。そして経済発展と近代化は人々の生活の質および伝統的価値を犠牲にするものであってはならない」
 その考え方の下、豊かな森林資源をどんどん伐採して他国に輸出するなどということは敢えてしない。国土に占める森林の割合を60%以上に保つという法律まで制定しているのです。伐採しすぎて森が消えかけ、慌てて植林を始めている隣国のネパールとは対照的です。

 都市のみならず、田舎を訪れてみて、隣接の大国である中国やインドと異なる点をいくつか発見しました。物乞いや小物を売りに来る子供がいない、看板が極端に少ない、信号が首都にひとつしかない、トイレがきれい――などです。

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