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2008年02月06日

水木 楊 作家、元日本経済新聞論説主幹 経歴はこちら>>

「ニュースの宝庫!」一面企画記事のつくられ方(1)

 新聞記事とかけて、何と解く。馬の面と解く。こころは、みな同じに見える――などと言う友人がいましたが、「いや、そうでもないよ」と私は反論しました。確かにニュース記事は、特ダネや編集者の意図が働いた記事を別として、共通のものがかなりありますが、決定的に異なる記事があります。

 それが企画記事です。罫(けい)で四角く囲んだ記事のことで、ここの見出しや内容が同じということは、まずありません。企画記事を書くときの記者の思い入れは相当なもので、(他の記事はいい加減に書いているというわけではもちろんないでしょうが)、一行の文章を書くのにかけた、取材から執筆までの時間は、平均して数倍になることでしょう。また、入社早々の駆け出し記者は、企画記事など書かせてもらえません。

 前置きはそれくらいにして、今年の元旦の一面を見比べてみましょう。題字の横の一面トップに企画記事をもってきたのは、朝日、日経の2社でした。朝日は、「環境元年」。今年の洞爺湖サミットで環境問題が最大のテーマになることを踏まえたもので、地球温暖化のため、九州の米の質が落ちたり、福島県でリンゴが十分に色づかなかったりした事実を伝えたうえで、西アフリカにまで取材班は足を運んでいたことが分かります。随分とお金をかけた企画記事だったことが分かるというものです。

 日経もトップは企画記事でした。タイトルは「YEN漂流」。円の購買力がここ数年、目だって落ちてきてしまったことを、これもまたロシアにまで足を運んで、生活物資を買ったり、飲み屋に行ったりしたときの円の力を昔と比較していました。

 朝日、日経の2紙に対し、読売の一面トップはニュース。「普天間代替、沖へ90メートル。政府、譲渡方針。政府の譲歩」でした。

 元旦の一面記事に対する考え方の違いが、ここに表れているように思えます。

 過去5年間の3紙の元旦一面トップを振り返ってみますと、日経は全て企画記事でした。平成16年から見出しだけを並べてみるなら、「電縁の時代」、「少子に挑む」、「ニッポンの力」、「イエコノミー」といった具合です。

 それに対して、朝日は平成16年に、「知られざる変容」というタイトルで、発足50周年を迎えた自衛隊を描いた企画を一面トップに持ってきましたが、翌17年、18年、19年ともにニュース記事でした。ですから、今年の「環境元年」は、それだけ力を込めた企画だったのでしょう。

 一方、この5年間、読売新聞は元旦の一面トップはつねにニュース記事でした。同紙の今年の正月企画は、「日本の知力」でしたが、これは3日の一面トップから始まりました。元旦の紙面編集方針から見る限り、読売新聞はニュース中心主義を貫いていることが分かります。

 とは言っても、日経にしろ、今年の朝日にしろ、何が何でも元旦の一面トップは、企画記事でいくという方針を固めていたわけではないでしょう。何かきわめて大きな特ダネがあったり、出来事が発生したりした場合は、企画記事は一面トップの座を譲ったに違いありません。今年の日経の脇トップは、「日産、全車両15%軽量化」。朝日は、「秋山氏側邦人を集中捜査」。守谷元次官の汚職に端を発した防衛省汚職関連の記事です。それぞれニュースではありますが、企画記事を押しのけてトップの座を奪うほどのインパクトはなかったということではないでしょうか。

<続きは(2)で>

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