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2008年01月18日

水木 楊 作家、元日本経済新聞論説主幹 経歴はこちら>>

新聞の「読み手」のための案内人をめざす

 予感がする。このコラムを最も熱心に読むのは、新聞に関心のある読者や新聞を読んでみようかと思う人というより、下手をすると、新聞を作っている人たちになるのではないか。NHKに「新聞を読んで」というラジオ番組がある。新聞の編集に携わっていた頃は、よく聴いたものだが、いまは殆ど聴かない。

 あそこで印象的な記事を紹介されたからと言って、捨てようとしていた新聞紙をわざわざ引っくり返し、その記事を探す読者はいないだろう。あれは、新聞編集者のための番組だったのだ。このコラムはそうなってはならない。

 だから、ただ記事を紹介するだけでなく、新聞を読む人たち、あるいは読もうとする人たちの水先案内になるようなコンパスを示さなければならない。そう考えると、これは相当に大変なコラムである。

 新聞社を辞めて、すでに十余年になるから、最近の新聞のことはあまり良くは知らない。新聞社にいた頃は、経済畑から国際畑に進んだが、さりとて経済や国際問題の専門家ではない。大体、作家に専門分野などありはしない。というより、自分の感性に触れた事物が専門分野である。

 これから始めようとするのは街のおじさん(爺さん?)の、Man on the streetの、熊さん八さん的感想でしかない。新聞社を辞めてから、いかなる組織に帰属せず生きてきたから、町の八百屋さんや魚屋さんのような個人事業主の意見や見方とも言っていい。勢い、悪口が混じることだろう。案内したところが、とんでもない迷路だったりするかもしれない。

 しかし、これだけは確かなのは、作家は活字の世界に生きているということ。だから、活字の世界が活き活きとし続けることを祈っている。テレビの影響は大きいように見えるが、取材陣の陣容、層の厚さを比較すると、新聞は圧倒的である。おまけに、新聞は記事のひとつひとつやページにスポンサーが付いているわけではない。新聞に商業主義の影響がないなどとは言わないが、テレビに比べるとはるかに少ない。それに、テレビのアナウンサーやキャスターは偉そうな顔をしているが、新聞からの情報に依存しているのは、紛れもない事実である。

 そういう意味で、新聞が人々にとって必要欠くべからざる情報源であり続けるよう願っている。ときには読者の一人として、新聞社にも取材に出かけるつもりなので、何か知りたいことがあれば、ご連絡いただきたい。

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