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2010年08月19日

水木 楊 作家、元日本経済新聞論説主幹 経歴はこちら>>

子供たちは王侯・貴族か(1/2)

 サッカーのワールドカップ期間中のことです。料理番組を見ていたら、一人のお母さんがサッカーボール型のスポンジケーキを作り、「こうしたら、子供たちに喜んで食べてもらえるんですよ」と言っているのを観ました。私は古い人間なのかもしれませんが、「喜んで食べてもらえる」という言葉に強い違和感を覚えたのです。

 そうやって見ると、「こどもたちに食べてもらえる」という言葉がテレビを始めマスコミに結構登場する。ひょっとしたら、これは現代の母親の通常感覚になっているのかもしれません。

 けれども、これでは、子供たちは王侯・貴族であり、母親たちは彼らにかしづく召使のようなものではないか、と感じるのです。皆さんはどうでしょうか。

 子供たちには別に食べてもらわなくてもいい。腹が空けば、彼らは食べる。だから、極端なことを言うなら、一家で週に一度くらい「断食の日」を作ればいい。そうすれば、嫌でも彼らは食べることでしょう。そうすれば、親たちは食事を作る手間を一日だけですが省けるし、ダイエットにもなる。

○「いただきます」廃止を求める母親

 なぜ、こんなことを言うかといえば、現代社会は食事をするということから、多くのことを学ぶ機会を失いつつあると考えるからに他なりません。先日、永六輔氏のラジオを聴いていたら、これまたおかしなことを学校に申し入れる母親の話が紹介されていました。

 学校給食で、「うちの子供に食事前に『いただきます』と言うのを止めさせてほしい」というのです。理由は、「給食費を払っているのだから」。

 この放送があったら、「いただきます」を言うべきかどうかをめぐり、聴取者の間で大論争が繰り広げられたとのことです。

 「食堂で、『いただきます』、そして、『ごちそうさま』と言ったら、隣のおばさんに、『お金を払っているのだから、店がお客に感謝すべきだ』と言われた」という事例が紹介されていました。

 私などから見れば、「いただきます」をめぐり大論争が展開されること自体が驚きです。いつの間に多くの日本人は食事をすることへの感謝を忘れてしまったのでしょうか。

  →次ページに続く(感謝の気持ちを起こさせる良い方法は…)

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