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2009年08月11日

安井 至 (独)製品評価技術基盤機構理事長、東大名誉教授 経歴はこちら>>

「夢」と「嘘」の狭間~環境エネルギー技術(1/4)

 環境エネルギー技術が極めて重要だという共通理解があるためだろうか、新聞各紙で新しい環境エネルギー技術が取り上げられることが多い。例えば、量子ドット型太陽電池、メタンハイドレート、太陽光による水素発生、油産出藻類などなどである。

 さらに、新技術ではないが、太陽電池の大量普及によって、自然エネルギーでほとんどすべてのエネルギーが賄えるという楽観論を生み出しているようにも思える。太陽電池設置量を40倍にするという国家目標値が達成されたとしても、一次エネルギーの3%程度が供給されるに過ぎない。

 日本が環境エネルギー技術に国家レベルで取り組んだ歴史は、1973年の第1次石油ショック後に遡る。サンシャイン計画(1974~)とその後のムーンライト計画(1978~)などの国家プロジェクトが行われ、新エネルギーや省エネ技術の開発によって脱石油を目指す大々的な研究が行われた。

 これらの研究プロジェクトは、基礎から応用まで広範に行われ、日本の新エネ・省エネ技術の基盤はここで作られた。現時点でも日本の環境エネルギー技術が強いと言えるのなら、それはこの時代に形成した「技術基盤の蓄積」のお陰であるとも言える。

○有望視された電磁流体発電、海洋温度差発電…

 その中に、MHDと呼ばれる有望技術があった。日本語訳は「電磁流体発電」である。現在ガスタービンが果たしている複合発電の前段の役割を果たすことが期待されていた。
 しかし、現時点では完全に見捨てられている。何が難しかったのか。それは、材料の寿命であった。寿命の長い材料が開発できると思われていたのだが、それが実現できなかったのである。

 比較的最近のものとして、海洋温度差発電にも、大きな夢があった。日本のような海洋国家では、海洋エネルギー技術の開発に成功すれば、世界第6位の海岸線の長さを生かして、エネルギー自給が可能になる、という夢である。
 温度差発電は、低温な海洋深層水と高温な表層水の温度差によってアンモニアなどを循環させて発電するもので、2003年には伊万里市に巨大な実験施設が完成した。しかし、現時点の結論は、「日本の海洋条件では発電は不可能」である。海洋深層水を冷熱源とする冷房用になら使えるかもしれない、という程度の理解になっている。

  →次ページに続く(報道も複雑化の一因)

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