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2009年07月21日

安井 至 (独)製品評価技術基盤機構理事長、東大名誉教授 経歴はこちら>>

先鋭化した「気候変動防止策」めぐる対立(1/4)

 インド、タタ自動車製の10万ルピー車“ナノ”がいよいよユーザーの手に渡った。日本円だと21万円程度。623ccのエンジンを搭載した小型車で、燃費は22km/Lである。

 「ハイブリッド車元年」とでも言えるほどの売れ行きであったプリウスは205万円、燃費は38km/Lである。

 7月10日閉幕したイタリアのラクイラで行われたG8では、主要議題は経済対策ではあったが、当然のことながら気候変動対策も議論された。併せて行われた主要経済国会議MEFでは、先進国とインドを中心とした途上国の対立がより先鋭化したように見える。

○ラクイラでの先進国と途上国の考え方

 対立が深刻化した根源的理由は何かと問われれば、「経済成長とエネルギー使用量の相関に関する歴史的事実の認識」にあると言いたい。もしも「CO2排出量が制限されれば、エネルギー消費量も制限される。となれば経済成長は望めない。したがって、貧困問題が存在する間は、途上国は、排出量削減には同意しない」。これがインドを中心とする国々の考え方である。

 先進国と呼ばれる各国は、1973年の第1次石油ショック以前の、ほとんどタダのような石油を使って、経済発展を実現した。
 世界各国の国民1人あたりでみると、1人あたりのGDPが15000ドルを超すあたりまで、経済規模とエネルギー消費量とは比例関係にある。
 もっとも、比例係数は国によって様々である。エネルギーの必要量は、その国の冬の寒さの影響が大きいため、北国ほどエネルギー消費量が多い。アイスランドが、国民1人あたりにすれば石油換算で12トン程度と、世界でもっともエネルギー多消費の国家である。

 日本は、国民1人あたり石油換算で4トンのエネルギーを使用している先進国である。一方、インドは、2000年で0.5トンに過ぎない。気候を考えた換算を行えば、さらに消費量が現在急増中であることを考えに入れても、まだ日本の4分の1以下のエネルギー消費量である。インドの経済成長が進展すれば、最低、現在の4倍程度、1人あたり2トン程度の消費が行われていることだろう。

  →次ページに続く(インドの「ナノ」の燃費)

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