2009年04月24日
| 安井 至 | (独)製品評価技術基盤機構理事長、東大名誉教授 | 経歴はこちら>> |
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新聞でも「絶滅危惧種」のことがしばしば取り上げられるようになった。最近では、マダガスカルのバオバブと呼ばれる樹木が話題になった。
バオバブはオーストラリアにも生育するが、マダガスカルのバオバブは、かなり絶滅に近い状態になってしまったようだ。
このような絶滅危惧種を絶滅から救い、生態系を保全するためには、国際的な協力が必要不可欠である。そのための国際的な枠組みとして、生物多様性条約というものがある。現時点で、191ヶ国が条約を批准している。ちなみに最後に批准した国は2008年7月のブルネイである。
○保全、利用、利益配分…三つの目的
この生物多様性条約は、一般には、「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させること」といった目標を掲げていることで知られているが、実は、それだけではない。
条約の目的は、第1条に記述されているように、「生物多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を実現すること」である。
明らかに、三つの目的がある。すなわち、保全は当然として、持続可能な利用、遺伝資源の利用と利益配分、という2点が同時に実現される必要がある。
持続可能な利用とは、「生物の多様性の長期的な減少をもたらさない方法および速度で利用すること」だとされている。将来世代が生物多様性の恩恵をしっかりと受けることができるように、ということだと考えればよい。
問題は三つ目の点である。
エネルギー資源にしても鉱物資源にしても、先進国によって搾取されてしまったと考えている途上国が多い。そして最後に残された資源が遺伝資源である。これは種類が多種多様であるために、依然として多くの可能性を残していると考えられる。
例えば、抗生物質の歴史はフレミングが発見したペニシリンにさかのぼるが、それはアオカビが生成する物質である。
今後、途上国の微生物の遺伝資源は、医療や食料などの分野で、革新的な進歩をもたらすかもしれない。
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