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2008年08月19日

安井 至 (独)製品評価技術基盤機構理事長、東大名誉教授 経歴はこちら>>

なぜ違う? 3紙世論調査結果

 北京オリンピック・夏休みということで、いささか影が薄くなった話題で恐縮だが、8月早々、福田内閣改造が行われ、その結果に関して新聞各紙が緊急世論調査を実施した。調査方法は3紙ともほぼ同じで、乱数を用いた電話方式(RDD方式)のようである。

○内閣支持率は日経38、読売41、朝日24%

 日本経済新聞の結果は、「福田内閣を支持するか」という質問に対し、「支持する」38%、「支持しない」49、「いえない・わからない」13であった。政党について、「支持または好意を持つ政党は」に対する回答は、「自民党」37、「民主党」33、「公明党」4、「共産党」4、「支持政党なし」15、「いえない・わからない」5であった。調査は有権者のいる1402世帯から856件の回答を得た。回答率は61.1%。

 読売新聞の質問は、「福田改造内閣を、支持しますか、支持しませんか」、であり、回答は、「支持する」41.3%、「支持しない」47、「答えない」10.9%、「その他」0.8%であった。支持政党に関する質問は、「今、どの政党を支持していますか」であり、結果は、「自民党」35.1、「民主党」24.6、「公明党」3.9、「共産党」3.5、「支持政党なし」30.0、「答えない」1.8であった。有権者在住世帯判明数1745件、有効回答1006人、回答率57.7%であった。

 朝日新聞の「福田内閣を支持しますか。支持しませんか」という質問に対しては、「支持する」24%、「支持しない」55。支持政党については、「どの政党を支持していますか」という質問に対して、「自民党」23、「民主党」22、「公明党」4、「共産党」3、「支持政党なし」35、「答えない・分からない」11だった。有効回答は1002人、回答率は58%。

 3紙の調査を比較してみよう。福田改造内閣の支持率が、日経38%、読売41.3%、朝日24%と相当な違いを示している。ところが同不支持率になると、日経49%、読売47%、朝日55%となって、それほど大きな違いでもない。

 政党支持率は、自民党支持率が日経37%、読売35.1%、朝日23%と大きく違う。民主党支持率は日経33%、読売24.6%、朝日22%で、これも大きく違う。支持政党なしのデータの違いも大きい。日経は15+5、読売30.0+1.8、朝日35+11である。まさに三者三様の結果になっている。

○各紙の政治的「バイアス」があった?

 各紙ともサンプリング数が1000前後であるから、二項分布による誤差の推定では、結果が30%程度ならプラスマイナス2%よりやや大きい程度のはずである。すなわち、統計的には有意データがでるようなサンプリング数であるにも関わらず、このように統計的に信用できないデータがでている。

 統計学によれば、このような場合に疑うべきは、「バイアス」である。今回の調査のバイアスとは何だろう。それは、各紙の政治的な態度が、回答者に影響を与えたということなのではないだろうか。すなわち、世論調査の電話が掛かったとき、それに対して回答をするかそれとも回答を拒否するか、その判断をする際に、すでにバイアスがあると推論するのが妥当だと思われる。

 この仮定を支持するかもしれないデータが、公明党、共産党の支持率であろう。結果が4%だとするとプラスマイナス0.6%程度の統計的誤差があるはずだが、もしも両党の支持者は、どの新聞からの世論調査に対しても、自らの主張を行うと仮定すると、まさに、理論的に導かれるばらつきになっているようだ。

 今回の調査からでも、バイアスを多少緩和した結果を推測することは可能である。3紙のデータから、支持者数、不支持者数を算出すればよいからである。その結果であるが、福田改造内閣の支持率は34%、不支持率は50%と結論することが妥当なところだろう。支持政党については、自民党が31%、民主党が26%ということになる。

○客観的な世論調査のデータを

 そして、もしも各紙が全国世論調査を続けるとしても、世論調査のやり方そのものを変える必要があるということが、もう一つの結論になるだろう。

 「あらたにす」は、3紙の共同事業としてスタートしている。世論調査も、その延長として共同に実施することが必要なのではないか。

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