2010年01月29日
| 伊藤 元重 | 東京大学大学院経済学研究科教授 | 経歴はこちら>> |
|---|
日本航空の会社更生法適用が決まった。この形の決着がよかったのかどうかについてはいろいろな見方が成り立ちうるが、ある意味では落ち着くところに落ち着いたというところだろう。
いろいろな人が指摘しているように、会社更生法に持ち込まないで債権放棄などの私的整理で調整すれば、もう少し支援機構の投入金額を少なくすることもできたかもしれない。ただ、その道も非常にナローパス(狭い道)であった。株主、債権者である銀行(それも銀行によって思惑が異なる)、年金受給者である日本航空のOB、不採算路線に関わる地域関係者、従業員、利用者、取引先、そして納税者である国民一般という、それぞれの複雑な利害や思惑を持った利害関係者の合意を得ながら速やかにことを運ぶのは簡単なことではない。
○更生法適用には国民への“けじめ”の思惑も
ある程度予想されたことだが、政府の内部でもいろいろな動きがあって混乱を助長したようだ。私的整理がもっともお金がかからないとは言っても、国民への説得力という意味では会社更生の手続きを踏んだ方がけじめをつけることになるという思惑も働いたのだろう。
ただでさえ不況で旅客需要が落ちているのに、日本航空を避ける乗客が増える中で、日本航空の売り上げは減少し、毎月相当額の現金流出(赤字)が出て、このままの状態を放置しておけばいつ航空機の運航が止まってもおかしくない状況だったようだ。そうしたぎりぎりの時間的制約の中での会社更生法による決着であった。
さて、再建のプロセスはやっとスタートについたにすぎない。今後の展開こそ本当に重要だろう。当面、日本航空は厳しいリストラを断行しなくてはいけない。関連会社の売却、従業員の大量リストラ、ジャンボ機など古い機材の処分などを速やかに進めなくてはいけない。
○厳しいリストラを1年で断行する必要がある
大幅に規模を縮小させて、利益の出る体質にする必要がある。それも時間との競争である。支援機構は3年以内にスポンサーに日本航空の株を売却しなくてはいけない。いわる出口戦略と言われるものだ。その出口の調整に必要な時間を考えると、1年程度で目に見えるリストラを断行し、利益の出る体質に変えていかなくてはならないのだ。
→次ページに続く