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2009年02月09日

伊藤 元重 東京大学大学院経済学研究科教授 経歴はこちら>>

“もの作りの時代”終わったのか(1/3)

 今回の景気後退には、いつにも増して重苦しい雰囲気がのし掛かっている。不景気と言えば、これまではどちらかと言えば構造不況業種と呼ばれるような業種の業績悪化が伝えられることが多かった。鉄鋼、繊維、建設などの分野である。

 しかし、今回の不景気では、自動車や家電など、どちらかと言えば日本の成長をリードしてきた産業の厳しい状況が目立っている。

 一つには、世界的な金融危機という異常事態が、こうした見慣れない形の不況を生み出しているとも言える。突然の世界的な需要の縮小と、あまりにも急激な円高方向への為替レートの変化で、輸出企業の売り上げは大幅に下がってしまった。

 大幅なリストラをして規模縮小をしない限り、損失という出血状態は続くことになってしまう。世界的な需要の先行きの見通しが立たないかぎり、企業としては雇用削減や投資の見直しに踏み切らざるをえない。

○日本の弱点“輸出バブル”が突かれた

 ただ、こうした一連の動きをもう少し違った方向から見ることができるかもしれない。今回の世界的金融危機は、日本経済の一番弱い所を突いてきたとも言えるのだ。

 最近の10年近い超円安の中で「日本で生産して海外に輸出していく」というビジネスモデルがあまりにも拡大しすぎたのである。ある意味では輸出バブルが起きていたと言ってもよいかもしれない。

 為替レートの動きを見ると分かりやすいかもしれない。昨年9月15日のリーマンショック以来、急速に円高方向に為替レートは振れたわけだが、それでも現時点での円レートは過去の動きの中で見ると円高ピークと円安ボトムの中間的な位置にあるのだ。

 これまであまりにも円安にあったので、今の状態が超円高に感じられるのだが、実は超円安から平均的な水準に移行したにすぎない。

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