他者と関わることの大切さ

 ただでさえ就職することが困難になってきた昨今の日本。それにも関わらず、「あの上司、合わない」などと人との付き合いを理由に、せっかく頑張って就いた仕事を辞めて親を困らせてしまう人がいます。 

 記事の筆者は、「自分とは感性も美意識も価値観も異なる他者とうまく折り合いをつけられるたくましい大人になるためには、小さい頃から同学年や同性の子とだけ遊ぶのではなく、多様な人と遊んだり生活したりする基礎経験総量をいかに増やすかがカギ」と言います。この考え方に賛成です。今振り返ると、私の小学校時代は他の人と比べるととても大変でした。

 小学校1年から5年間、フィリピンに住んでいた頃はあまり人と話すことはありませんでした。いとこやおばさんたちは家事や出かけることに忙しく、私は一人で部屋の中でテレビゲームに熱中するか寝ることしかありませんでした。また、現地の学校でも日本とフィリピンのハーフであるため「異端者」として扱われ、いじめられる日が多かったのです。

 日本に帰ってからも状況が変わることはなく、高校3年までいじめられていました。そのため人への興味が薄れてしまい、一匹狼のような学校生活を送りました。もしあの時、たくさんの人とコミュニケーションをとっていたらどれだけ幸せだったことか、と時々思い返すことがあります。

 しかし、大学という小中高とは全く違う、とても楽しい環境で学べたことが大きな転機になりました。自分の中で「今まで何をしていたのだろう?このままでは駄目だ。変わろう」という意識が強まり、積極的に課外活動や部活に参加し、さまざまな学生、友達、先生、先輩と出会い、多くのことを学ぶことで、価値観や考え方、視野が広がりました。今では他者と話すのが楽しくなり、友達の輪も広がり、人間関係や学業、趣味、アルバイトともにとても充実した生活を送っています。

 他者と話すことは出会いを増やすだけでなく、お互いの考え方や価値観をシェアし、刺激し合って人間力を高めてくれる大切な機会でもあります。私の場合、自分からコミュニケーションを取ることが得意ではないために小中高は苦労してきましたが、その分大学では積極的に自分から自信を持って話しかけ、出会いを増やすように努めました。この「積極性」を活かして今後の就職や日常生活を充実させようと考えています。

 幼少期からたくさんの人と話すことを楽しみ、様々な人間関係を構築し、自らを常に成長させることが何よりも重要である。そう私は強く考えます。

 

727日付 朝日新聞朝刊 子育て 13版 25面 「子どもと大人の育育サプリ」 

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