教育者としての在り方、見直して

  “Mastery For Service”(奉仕のための練達)。関学生なら誰でも言えるスクールモットーです。「隣人・社会・世界に仕えるため、自らを鍛える」という意味ですが、私は「世のため、人のためになることを心がけましょう」ということだと解釈しています。私は、関学が好きです。その学生であることに誇りを持っています。読者の皆さんは、自分が通った母校、あるいは現在学んでいる学校に誇りはありますか。

  「自分が学んだ学園で不正が起きていたら・・・・・・」。子どもたちが大きくなったら、あの学園に誇りを持てるでしょうか。

  連日、テレビや新聞で大きく取り上げられている学校法人「森友学園」(大阪市)。政府は、大阪府豊中市で建設中の小学校の事業費について異なる工事請負契約書を国と大阪府に提出していた問題で、事実関係の調査に乗り出す方針です。

  小学校の施工を担当した業者が府建築振興課に対し、建築費を15億5520万円と報告していたことが分かりました。業者は「この金額が正しい」としています。しかし学園側は、国土交通省へは23億8464万円、大阪府に対しては7億5600万円、さらに大阪空港の航空機騒音対策の補助金として関西エアポートに約15億5000万円を申請していました。実際の建築費が15億5520万円ならば、府私学審議会への資料に債務の見込み額などが十分に記されていないことになり、府関係者は「認可できない」としています。

  複数の契約書が提出されていたことについて、学園側は8日、ホームページに「補助金を詐取しようとした疑いは全くの誤解。工事費の上振れ分を見込んで申請した」とする釈明を掲載しています。

  小学校用地の国有地が、評価額を8億円余も下回る価格で学園側に売却されていたこと。愛知県の私立中高一貫校との間で、卒業生の推薦入学枠での合意があったという、事実とは異なる報告。教員予定者名簿に、同意を得ていない公立小学校の男性校長の名前を記載していたこと。相次いで発覚する疑惑には、ため息さえ出てしまいます。学園での講演に首相夫人や政府職員が同行していた事実もあり、不信は募るばかりです。

  もちろん、不正はいけないことです。しかし、いま問いただしたいのは、「教育者としての精神」です。連日報道されるニュースを見ていると、「これが教育者、教育現場としてのあり方なのか」と疑問を抱きます。子どもたちが大きくなったとき、母校に誇りを持ってもらえるように。そんな学校づくりを、今一度考えてほしいと思います。そして、二度と同じようなことが起きぬよう、政府や各省庁も「厳しいルールづくり」を強く意識して、解明に取り組んでほしいものです。

参考記事:

3月9日付 各紙朝刊「森友学園」関連面

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